[BlueSky: 1442] Re:1436 アオコ


[From] "Yoshiyuki Aizawa" [Date] Wed, 23 Feb 2000 00:42:29 +0900

相澤@水処理屋です.
ちょっとうんちくたれます.

> 佐川さん【1435】
> >浄化システムが稼働しているにもかかわらず、アオコが発生する
> >というのは、それだけ、水の浄化が難しいということなのでしょうね。
>
> 皇居外苑濠の容量と、この施設で1日当りに処理できる水の量の
> 関係がはっきりわらかないので、何とも言えないのですが、この文
> 献がでたのは1995年だったので、もしかしたら、今は、もっと改良
> された方法で浄化されているかもしれません。
>

 凝結剤(硫酸バンド)で懸濁物質(SS)をフロック化し、急速ろ過でそれを
こし取る方法は、水の懸濁物質を取り除きかつ、ろ材表面にいる微生物
群により溶解性有機物や、マンガン等を除去させることを狙っているの
だと思います。この装置をお堀に浮かせ、あっちこっちに移動させるこ
とで、全体的な浄化を狙っているのでしょう。
 効果はもちろんあると思いますが,これだけで解決はできません.
例えば夏季は、鉛直方向の水の循環が停滞します。水の表面部は植物
プランクトンが盛んに活動するため、低層部は溶存酸素が不足します.
その結果,底泥から栄養塩が多量に溶出してきます(微生物の死骸に
由来する成分、嫌気微生物が発生させるもの、人が捨てたものなど).
その結果、栄養分が非常に豊富になりアオコが大発生します.
この栄養塩の溶出をなんとかしなければ、アオコの発生は抑えられま
せん.これに目をつけて海外では、薬剤で底泥からの栄養塩の溶出を
防止したり、底から曝気する試みもされています.
 しかしそこまですることもないでしょうね。


> 17年ほど前に霞ヶ浦に行き、表層に浮いているアオコを掃除機の
> ような機械で吸い取るという船をみせてもらったことがあるのですが、
> 緑色のペンキをまいたような水の色と、凄い臭いを今でも憶えてい
> ます。集めたアオコの処理も大変なようです。
> 以前、メタン発酵の原料として使うために、熱処理、化学的処理、
> 超音波処理等により藻類を可溶化しようという論文を目にしたこと
> があるのですが、ゴミとしてで処分するのではなく、Shootさんが
> 書いていらしたように、魚類養殖の餌(直接は無理でもアオコを食
> べる原生動物を)にしたり、資源として有効に使えるようになるとい
> いな、と思います。


ちょっと話は違いますが,光合成微生物を利用したいろんな試みは
成されています.
 例えば、クロレラやスピルリナは、栄養剤として売られてます.
また、医薬品の原料を作らせたり,希少金属を回収させたりする
試みもなされています.また、工場の排ガスのCO2を固定させ
よう、というのも大会社が試みています.
 富栄養化した水や、有機性の工場廃水など、今の技術をもってすれ
ば必ず有効利用できると信じています.私も大学にいた当時はそう
いった技術を確立させるための研究をするのだ! と鼻息荒くして
いました。


> >水道水が不味いのも、その辺の事情(原水が汚濁している)が絡ん
> >でいるのでしょうか?
>
> MIBやジオスミンというカビ臭物質をつくる微生物が水源に発生し、
> 水道水の処理法もオゾンや酸化チタン光触媒の利用等を利用した
> より高度なものへ変革が迫られているようです。
>
> 2年ほど前に、担当分野が環境関係から水産関係に移ってしまっ
> たので、最近の情報はあまり持っていません。
> 詳しい方がいらしたら、宜しくお願いします。
>
水処理屋として恥ずかしいのですが,私も上水処理の最近の技術は
勉強してません.
水道水がまずいのは、カビ臭からだけでなく、塩素に起因する微量の
不揮発性の有機塩素化合物のせいもあると思います.
水道水は気休めで木炭の入った容器にいれたあとに使ってます.



以上、かなりたれしまいました。



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