[BlueSky: 1399] 通産省が原発増設断念へ・・需要抑制策に転換


[From] "Takashi Goto" [Date] Mon, 7 Feb 2000 00:27:38 +0900

北海道新聞2月5日付記事

◆通産省、2010年までに原発を20基増設目標を見直し 需要抑制策に転換

 通産省は四日までに、地球温暖化対策として二○一○年までに原子力発電所を最大
二十基増設するという現在の目標を、見直す方針を固めた。茨城県東海村での臨界事
故などで、国民に原子力に対するアレルギーが強まり、増設はさらに難航が予想され
るため。供給電力が不足する分は、新たな需要抑制策で乗り切る方針だ。同省は、臨
界事故以後も原発の増設目標は不変としてきたが、今回の見直しで国の原子力政策は
大きな曲がり角を迎える。
 同省は一九九七年の地球温暖化国際会議(京都会議)を前に、温暖化の原因となる
二酸化炭素を排出しない原発を二○一○年までに十六―二十基増やし、発電能力を九
七年の四千五百万キロWから七千万キロWに増強する方針を打ち出した。しかし、用
地取得が困難な上、安全性への不安が強まっていることから、その後、着工された原
発は東北電力の女川3号(宮城県)など四基にとどまっている。同電力の巻原発(新
潟県)のように地元との交渉が暗礁に乗り上げた例も多く、北電が二○○二年着工を
目指している泊原発3号(後志管内泊村)も、知事意見の調整に手間取っている。

 同省の内部文書には、「対外的にこれ(目標を達成できないこと)が明らかになる
のは二○○一年三月」と明記されており、来年三月に電力各社が国に提出する二○一
○年までの電力供給計画の中で、同年までに運転を開始する原発が十六基を下回るの
が確実になったことを認めている。

 このため、同省は目標の下方修正を進めるとともに、電力の供給不足を補うため火
力発電の増強などを検討したが、いずれも環境への悪影響から原発の代わりにならな
いと判断。エネルギー全体の需要を抑制する政策に転換することにした。省エネのた
めに、二酸化炭素などの排出者に課税する環境税などを新たに検討する方針だ。環境
税は、導入が先行している欧米では、エネルギー需要の抑制に効果があるという。

 同省は今春をめどに、総合エネルギー調査会(通産相の諮問機関)の基本政策小委
員会や需給部会に、今後のエネルギー政策のあり方や原発の増設目標の再検討を諮問
する。

 同省の幹部は「原発は、地球温暖化抑制の効果や供給安定性ですぐれており、基幹
エネルギーとして推進していくことには変わりがない」と話している。


 


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