[BlueSky: 1342] 第十堰は多面的な問題


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Fri, 28 Jan 2000 12:28:30 +0900

青空MLのみんさん

吉野川河口堰の話題でについて,
先ず,NPOの後藤さんは御存じと拝察致しますが,以下のURLで建設省の
河川事業に対する意見を述べることが出来ます。どんどん意見を投げることを
お勧めします。私の経験では,政府の委員会は始めに結論ありき的雰囲気が有
りますが,事務方はキッチリ読んでいます。政治家先生にまで渡るかどうかは
微妙ですが,論理明快で,反対のための反対の様な意見でない限り,少しずつ
影響を及ぼすと信じて私も積極的に意見を具申しています。

http://www.moc.go.jp/river/temp/iken/index.html

 まだ生臭い問題なので,堰自体についての是非等,具体的な発言は差し控え
ますが,公共事業と環境問題の関わりを単純かつ素朴に,全世帯の25%に波
及すると言うゼネコンや建設省を批判しても,気が付けば火の粉が自分に降っ
てくることは有りこそすれ,決して改善しないとだけ指摘したいと思います。

ゼネコンに内在する闇,不良債務のことも別の意味での大問題ですが・・・・

おそらく中澤さんや,後藤(健)さんがこの青空自由大学を企画した意図も,
そのような単純思考に陥らないための知的研鑽の場を目指したのではと拝察い
たしております。

 何度かこの場で,申し述べて参りましたが,地球環境,地域環境,生活環境
などは皆複雑にリンクしており,人口問題も,産業構造も,先端技術も,雇用
問題も,心的共同体意識も有形無形に環境問題に関わってくることは,今の時
代だれも否定しないでしょう。
 その時,この手の問題を,政治家・官僚がゼネコンや大企業と結託して,市
民から税金を吸い上げて私腹を肥やし,不必要な公共事業により自然環境を害
するという単純な構図で見ていても,未来は全く改善される気配は感じられま
せん。その構図があるとすればこそ,環境を守る側はもっと強かに,意表をつ
くような行動により,その構図を「側面からうち破る」必要があると信じます。
その意味からも,住民投票や国際機関を巻き込んだ世論構築は有効な手段だと
考えます。

 だだ,最近の議論を拝見すると,人口問題の時も感じましたが,発想のパタ
ーン化,朝日新聞化,水戸黄門化しているように感じてならないのですが・・
・・・(スミマセン暴言です)
 このMLでは是非,当たり前の構図は周知として,もっと違った切り口も論
じて頂きたいと念じております。
 長文となり恐縮ですが,以下に手元にある関連資料を抜粋・要約してお付け
します。
 一つの資料として検討材料にして頂けますれば幸いです。

平成8年11月の通産省の産業構造審議会基本問題小委員会の中間とりまとめ
の場合,「産業空洞化の懸念の深刻化」として,
 通産省調査では、製造業全体の雇用は、1,360万人(1995年)から今後5年間
で124 万人程度減少見込み。これは、一昨年の基本問題小委員会報告における
改革ケースの予測(1992〜2000年の8年間で64万人の雇用減と予測)を相当上
回る急激な減少。
今後、高付加価値分野を中心とした製造基盤を日本に維持するとともに、新規
産業分野の創出を行うため、「経済構造改革への取組みを加速、強化」しなけ
れば、質の高い雇用が失われる懸念大。

としてこのMLでも以前話題になった雇用問題に懸念を表明している。

また,「高齢化の進展による経済活力停滞の懸念」としては,
 本格的な高齢社会を迎える中長期的な経済を見通した場合、生産年齢人口の
減少による労働供給量の減少、貯蓄率の低下といった労働および資本面の供給
制約が顕在化し,社会保障費を含む公的負担(税負担、社会保険料負担)の増
大が更なる貯蓄率の低下、産業の空洞化の加速等をもたらし、経済活力を阻害
する懸念が有るとし,我が国経済がこのまま推移した場合、高齢化のピークを
迎える2025年には、1)経済成長率は大幅に鈍化し,2)国民負担率は大幅に
上昇(50%を大きく上回る水準に)に成る上、財政赤字を考慮すれば国民の負担
はさらに高水準となり,勤労者一人当たりの手取り所得の伸びはマイナスに転落
(働いても生活水準は向上しない状況に)し,財政赤字も拡大の一途をたどり,
経常収支の赤字化に陥る恐れがある。

 と指摘している。最近,消費税率25%論や,不気味な調整インフレ論がまたも
や政府関係者から出始めました。注意が必要です。

更には平成10年7月の通産省産業構造審議会第3回地域経済部会の報道発表
には,「地域経済の現状」として,
企業活動のグローバル化に伴い、地域経済は引き続き国際的な競争にさらさ
れており、これまでの生産拠点の海外移転の影響などにより、製造業において
は約120万人の雇用の減少が見られる。製造業雇用の減少幅は大都市圏で大
きなものとなっており、都市圏においてはサービス業、地方圏においては建設
業を中心に、この雇用減少分を吸収してきた。
建設業が雇用減少分を吸収してきたことは、バブル崩壊後の91年度から
95年度の間、低迷している民間設備投資を累次の景気対策による公共投資の
拡大が補完し、国内景気を下支えてきたことを反映している。この結果、地域
別の産業構造を都道府県別にみると、地方圏において全産業に占める建設業の
割合が高く、県内総生産に占める公共投資総額も高い。こうした中、財政構造
改革により、公共投資は中長期的には削減の方向にあるが、公共投資が減少し
た場合の雇用への影響は、特に地方圏において大きなものとなることが予想さ
れる。現に建設業者の倒産件数は、近年増加傾向にあり、今後も増加が予想さ
れている。

 と警告を発しているが,残念ながら現状は予測を上回るペースで進んでい
る。新産業創出,IT革命,大いに結構だが,建設現場を放り出された結果,
町に溢れるホームレスは生きる資格が無いというのだろうか?もっと言えば,
PCを使っているだけ,プログラムするだけ程度ではIT革命では負け組に入
ることを知っているのだろうか?そう言うことも込みで環境を語って欲しいと
拙僧は日々願っています。

合掌
横山 和尚/DGC総研


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