[BlueSky: 1312] Re:1311 遺伝子操作と農薬


[From] yuichiro komiya [Date] Thu, 20 Jan 2000 17:52:02 +0900

いわおさん、こんにちは、小宮です。御説明ありがとうございました。

>  栽培面積の一部に組換えでない普通の品種を植えさせるのは、ひとえに殺虫
> 剤抵抗性の害虫の出現を遅らせて、BT組換え作物をより長く使い続けられる
> ようにするための予防措置であって、組換え作物が危険だとかそういうことと
> はまったく無関係です。そのへんのところ、朝日新聞の記事を書いた人も全然
> わかってないようです。
>
>  害虫は、頻繁に同じ殺虫剤をかけられていると、たまたま抵抗性を持ってい
> た個体だけが生き残って繁殖し、次第にその殺虫剤をかけられても死なないよ
> うに進化していきます。今までの化学農薬では、虫によっては2ー3年で殺せ
> なくなってしまいます。BTトウモロコシは農薬を内蔵しているわけですから、
> これを食べようとする害虫は下手をすればあっという間に抵抗性を発達させて
> しまうことが予測されていて、それを防ぐ一つの手段としてBTを内蔵してい
> ない品種を部分的に混ぜて植えることが以前から勧められてきました。
>
>  当然そういう品種は害虫に喰われやすいわけですから、農家としてはなるべ
> く植えたくなくて、5%ぐらいでどうか、いやそれでは少なすぎる、とさかん
> に議論されていました。今回20ー50%という比率を打ち出したのはかなり
> 大幅なものですから、それで農家が了承するのだとしたら、その背景には組換
> え作物が各国で拒否されているという圧力があるのかも知れません。むろん、
> 従来の品種の部分には化学農薬を使うことになるでしょう。

今回の耕地面積の制限、というのは、別に環境に対する影響を
考えてのことではなかったのですね。それは全然知りませんで
した。

> >                  BTトウモロコシは
> >最近根からも毒素を抽出していることがわかったのですが、
>
> という点についてもひとこと。「根でもBT遺伝子が機能して毒素を生産して
> いる」ということであって、根からその毒素が土中へ放出されているというこ
> とではないですよね? つまり、葉だけでなく根も守られている、というだけ
> のこと。土中の環境に影響を与えると考える理由はないでしょう。それにその
> 遺伝子の元になった細菌はもともと土の中に住んでいるんだから、多少土中に
> 出てもどうということはない。さらにいえば、毒素といってもこの遺伝子産物
> は、ガやチョウの幼虫に食べられて中腸で分解されてからしか毒性を持ちませ
> んから、影響を考える方が難しいぐらい。

そういえば、natureの記事でもそのような論調になっていました。
ただ、今回のことは、「根から毒素を出していることが判明!危険
性が解明された!」という説明をしている記事も多いですよね。こ
こら当たりは何が本当なのかは、ちょっと素人目には判断できませ
ん。少し前に、目的以外の生物にも害を与えることが分かった、と
いう記事も読みましたが、これも本当に自然の生態系で影響を与え
ているかどうか疑わしいということらしいですし…。

遺伝子組み替え技術はかなり賛否両論対立しているところがあるよ
うですから、検証結果が両陣営に有利なように報道されているので
はないか?と疑いたくなってしまいます。イタリアあたりは、今回
のBTトウモロコシの件で輸入をやめた、という記事もあったようで
すし…。とりあえず、記事を鵜呑みにせず、自分で理解して判断す
る必要があるということでしょうか。




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