[BlueSky: 1249] Re:1243 少子化問題ー情報処理のあり方


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Wed, 12 Jan 2000 08:14:20 +0900

こんにちは、小宮です。僕は31歳、独身ですから、まさにこれからの日本
の小子化問題に一番責任がある世代かもしれません。

水野さんwrote;
>「日本人の他人への共感能力、というものは低下」について、
>情報過多と関係があるのではないか、ですね。

そうです。詳しく言えば、多い情報に流されてしまい、それを有効に処理
する能力を個人一人一人が失ってしまっているのではないか、ということ
です。情報が多いことは悪いことではないと思いますが、ただ受動的に過
大な情報を受け取るだけでは、知識は増えても、人として大切な感性を
失っていくのではないか、と思うのです。ですからインターネットなどの
メディアにしても、その情報を自分で有効に処理できる人にとっては有効
なものかもしれませんが、ただの情報源としてしか利用していない人に
とっては、単に知識を増やすのみで、それに比例して考える力を失ってい
くのではないでしょうか。ショーペンハウアは「読書とは、自分の頭では
なく、他人の頭で考えることだ。書物から読み取った他人の思想は、他人
の食べ残しに過ぎない。非常に多読する人はしだいに自分で考える能力を
失っていく。いつも馬ばかりに乗る人が、ついには歩くことを忘れるよう
なものである。」と過度の読書を批判していますが、今の日本人はそう
いった状態に陥っているような気がします。

>私が、なぜ、因果関係にこだわりたくなったか、というと、ご指摘のご意見
>から、対策を見い出したかったからです。
>
>つまり、では、情報を減らせば、「日本人の他人への共感能力」が回復する
>だろうか、というと、そういうわけでもないと。
>
>じゃあ、どうすればいいんだろう、とか。

そうですね。もちろん単に情報を減らせばいい、という問題ではないと思い
ますし、そういった方向は間違っていると思います。

難しい問題だと思いますが、ひとつにはやはり今の知識重視の教育のあり方
を見直し、もっと幅広い感性を養うような教育をすすめる、といった方法が
考えられるのではないでしょうか。過度な情報に流されず、自分で情報を処
理できるような能力を開発する、ということです。AERAMooK「生物学が
わかる」という雑誌の中で医学博士の井口潔教授が次のようなことを言われ
ていました。

「感性は教えたり、教えられたりすることのできないものだ。感性を育てる
とは、その個体の中に眠っているものを呼び覚ますことということをはっき
り理解することが第一である。
 乳幼児の養育にはまずは物質分明的な人為的な雰囲気は努めて避けること
だ。つまり、分明の未開の昔はたぶんこのようであったろうと思われるよう
な素朴な養育環境を与えること。そうすると、その中の感性的刺激によって
先祖から継承して眠っている感性のニューロン回路ができて、感性的能力の
豊かな個体となるはずである。昨今のいわゆる幼児英才教育では、人為的、
知的刺激が加わるので、感性の発芽を逸してしまい、感性の乏しい、つまり
生きる意欲、生き方の選択ができない人間になる危険がある。」

ここら当たりに解決策がありそうな気がします。


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