[BlueSky: 1103] クローンの法規制


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Fri, 19 Nov 1999 00:19:07 +0900

こんにちは皆さん。小宮です。僕は兵庫に住んでいますが、獅子座
流星郡のことはすっかり忘れていました。ここでも見れたのかなあ。

ところで、今朝のニュースで、国の科学技術政策を決める科学技術会議の
クローン小委員会が、体細胞からのクローン人間作りを法律で禁止す
ることを決定したということを言っていました。ある特定の分野の研
究を、ガイドラインではなく法律で規制するという倫理問題での法規
制は、日本では初めてのことではないでしょうか。それだけクローン
人間作成ということの社会的な悪影響が大きい、と判断されたという
ことだと思います。また、最近遺伝子組み替え等の技術開発の速度が
著しく、人細胞に関する研究も進んでいるため、早急になんらかの規
制が必要になったということもあるのではないでしょうか。

禁止されるのは人クローン個体の産生、もしくはキメラ、ハイブリッ
ド個体の産生で、具体的には人の体細胞を核を除いた人や動物の未受
精卵に移植してできた胚を、人や動物の子宮に戻す行為が法規制の対
象になるようです。個体が作成されない、ES細胞等の研究は法規制
の対象にならないようですが、なんらかのガイドラインは今後提示さ
れるのではないでしょうか。

以下の資料に、クローン小委員会での法規制に関する議論が載ってい
ました。

クローン小委員会(第11回)・ヒト胚研究小委員会(第5回)合同
委員会(平成11年7月28日)議事録

http://www.sta.go.jp/shimon/cst/90901_1.html


一部法規制の根拠と思われる箇所を引用します(まだ検討段階での御意
見のようでしたが)。

「人クローン個体の産生は、実際に個体の産生を伴うことから、産まれ
てくる子供の身体的安全性の問題、家族秩序の混乱、人間の育種及び手
段化・道具化、生殖のあり方に対する認識からの逸脱(無性生殖)等が、
現実化・明白化する。さらに、人クローン個体の産生に固有の重大な問
題として、遺伝的形質が複製された人を意図的に産生することは、実際
に生まれてきた子供等に対する人権の侵害が現実化・明白化することに
なり個人の尊重という憲法上の理念に著しく反する。よって、人クロー
ン個体の意図的な産生は、その弊害の大きさから全面的に禁止されるべ
きものであり、強制力を伴った形で、法律による規制を行うことが適当
である。」

東京農大のケースのような、クローン個体が産生されない、子宮へ戻さ
ないクローン胚の研究に対しては、今後さらに検討していくということ
です。


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