[BlueSky: 1016] Fw:[ecoinfo:57] テレビデモ


[From] 溝内 辰夫 [Date] Sun, 17 Oct 1999 22:52:59 +0900

みなさん、どうも溝内です。
私の個人アドレスから別のMLに投稿したものを転送します。
従って、著作権?は私なので無断転載ではありません。
実は私はこの岩崎家に今年の6月末まで奉公していました。
そのときにこの細倉のプロジェクトを担当したのです。
ですから、この経験で環境庁の寺田課長の思いを私なりに解釈し、共感したのです。
(岩崎家を辞めたのは、少しラディカル過ぎ、また関係者が僕の理念を理解してくれず、居所がな
くなったと言うかお互いのために去った方が良いなと思ったからです。
こんな長いメールはネチケット違反かもしれませんが、思い入れがあるもので。
(実は足尾の環境社会学会でも報告し、学会などでの発表経験などなかったので、散々な目に会い
ました。)
ではでは。

----- Original Message -----
From: Mizo Tatsu <wonder@tkf.att.ne.jp>
To: <ecoinfo@mail.cocode.ne.jp>
Sent: Sunday, October 17, 1999 10:26 PM
Subject:[ecoinfo:57] =?ISO-2022-JP?B?GyRCJUYlbCVTJUclYhsoQg==?=


>
> みなさん、こん○○は。
> ミゾです。
> 昨日、テレビリサイクルのデモ公開を見に行くために遥か遠く宮城県鶯沢町まで行っ
> てきました。確かいとさんが以前コメントされていたある岩崎家の直系の会社の関係
> です。このテレビデモ公開に至る経緯を話さないと面白くないので少し(無茶苦茶)
> 長くなりますが、お付き合いを。
>
> 宮城県鶯沢町は東京から東北新幹線で2時間半(仙台の次の次の駅のくりこま高原
> 駅)、そこから車で30分くらいの栗駒山のふもとにあります。この町には細倉鉱山
> があり、日本有数の鉛亜鉛鉱山でした。昭和初期に岩崎家直系企業の経営になってか
> ら近代化合理化が進み、昭和30年代には人口14000人ほどで経済的には当時の
> 仙台市を凌ぐほどの場所で地元ではカナヤマと呼ばれていました。ところが、世界的
> な不況や為替の自由化、非鉄金属市場の開放などにより一気に経営が悪化し、昭和6
> 2年に閉山。今では過疎化高齢化が進み、人口も3400人となってしまいました
> (高齢化率は26%程度だったかな?)。閉山後は、亜鉛製錬所を閉鎖し、鉛製錬所
> のみ操業しています。また鉛製錬所も海外鉱ではなく、自動車の鉛蓄電池からの鉛再
> 資源化事業を行っています。また町は閉山対策として旧坑道を利用した観光施設「細
> 倉マインパーク」を閉山後の平成2年?に開業、初年度こそ24万人の観光客を呼び
> ましたが、今は10万人前後となっています。
> ブームタウンがさったこの町に平成9年1月、岩崎家から家電リサイクル事業と廃棄
> 物発電事業、及び地域熱供給事業を行いたいので、町に対して協力して欲しいとの申
> し入れがありました。申し入れの内容は、幾つかありましたが、岩崎家と住民の対話
> の場を設定して欲しいというものでした。これを受けて町では7月に「リサイクル企
> 業立地検討委員会」を設置し、岩崎家と住民との対話の場が設置されました。ところ
> が、いざ対話を始めると、岩崎家の予想に反し、住民から過去の鉱害に対する長年の
> 不信感が爆発。岩崎家としては確かに塵肺問題やカドミによる農地汚染等はあったも
> のの基本的には企業城下町であり、住民は岩崎家に好意的である(だからこそ、対話
> を試みようとした)ので、リサイクル事業についても理解してくれるものと考えてい
> たのですが、逆に猛烈な反対にあってしまいます。また岩崎家が住民の対話を求めた
> 時点では構想レベルのものであり、計画の変更や中止も十分可能な時点だったのです
> が、逆にこのことが余計に住民の不信感を増大させてしまうことになってしまいまし
> た。要は情報を隠していると。当時はまだ家電リサイクル法すら通産省内で検討段階
> であったのですが。
> ここで行き詰まった岩崎家は環境事業団(環境庁主管の特殊法人)に調整役を依頼し
> ます。環境事業団が調整役になってから漸く岩崎家と住民の対話が正常化しました。
> 岩崎家はこの住民との対話経験をもとに平成10年2月、「パートナーシップ型デモ
> ンストレーションプログラム」(PDP)を住民側に提案しました。この内容は、今後家
> 電リサイクル事業を行うにあたり、住民とともに家電リサイクル法や廃棄物処理法、
> 各種公害防止法令等を勉強し、事業計画作成のプロセスを公開しながら、事業が遵法
> であることを共に確認しながら進めていこうとするものでした。そして、そのうえで
> 本格操業にあたって環境マネジメントプログラムを住民と一緒に策定していくこと、
> また操業後も遵法であることを担保するため、工場を公開すること、またこのプログ
> ラムをより効果的なものにするためにテレビのデモプラントを建設し、それを利用し
> て住民のリテラシーを高め、本格工場が稼動する平成13年4月までに企業と住民が
> 一緒になって本格工場のルールとそれぞれのロールを規定していこうとするもので
> す。この提案を受け、検討した住民側は年度末に「基本的にはPDPに賛成するが、過
> 去のように公害を起こさないこと、事業については家電リサイクル事業はOKだが、廃
> 棄物発電事業はダイオキシン等の問題もありペンディングすること、今後も住民との
> 対話を継続すること」との提言を町に提出しました。
> 翌10年度には、「リサイクル企業立地検討委員会」は「パートナーシップ部会」
> (P委員会)と名称を新たにし、成立した家電リサイクル法の勉強会や茨城県那珂町
> に通産省の補助事業として家電製品協会が建設した廃家電品一貫処理リサイクル実証
> プラントの視察などを行い、住民が環境マネジメントプログラムや環境保全協定を作
> 成するために必要な情報を提供しました。またテレビのデモプラント建設の住民説明
> 会もこのP委員会とは別に行われ、宮城県の許可も得、平成11年4月には建設着工
> しました。随分と経緯が長くなりましたが、昨日、このテレビのデモプラントを用
> い、住民への工程の説明と実演、そして実際に第三者の測定業者を呼び、公開で騒音
> や振動を測定しました。
> 当日は、町民3400人のうち、約200人が参加、地元マスコミも約20人(東北
> 放送、東日本放送、宮城テレビ、サンケイ新聞、河北新報、産業新聞、鉄鋼新聞な
> ど)が取材に来るほど大盛況でした。
> 最後に挨拶にたった住民の代表は、「環境アセス法が施行され、事業者は住民の意見
> を聞かなければならなくなった。岩崎家は先駆的にパートナーシップ型デモンスト
> レーションプログラムを提案し、積極的に住民の意見を聞く場を設置してくれた。よ
> りより事業にするためにどんどん発言していこう。」と話し、デモ公開は終了しまし
> た。
>
> *個人的な意見として、岩崎家は今後も全ての手続きを公開し、また審査にあたる宮
> 城県、築館保健所、並ぶに鶯沢町も審査過程を住民に説明することが求められるだろ
> う。一方、住民側も岩崎家が法的要求事項については少なくとも遵法であることを認
> 識したうえで、あくまでもよりよい事業とするために協働で検討していくと言う姿勢
> が必要であろう。岩崎家も住民の要求する法的要求事項についても真摯に耳を傾け、
> 可能なものは取り入れること、また将来的に可能なことや不可能なことを理由(根
> 拠)を明確にしながら、住民側の理解を得ることが大切だと思いました。(但し、法
> 的要求事項が適切かどうかという根本的な問題はあるのだけど。)
>
> 以上、超長文のリポートでした。
>
> ではでは。
>



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