[BlueSky: 1000] 再生技術、胚性幹細胞


[From] yuichiro [Date] Tue, 12 Oct 1999 00:15:28 +0900

こんにちは、小宮です。


少し前の話ですが、以前佐川さん、飯田さんに教えていただいた臓器
再生技術に関して、雑誌「サイエンス」が特集を組んでいましたので、
紹介します。

5月24日 日経サイエンス7月号「特集 組織工学 人体を再生する」
http://www.nikkei.co.jp/pub/science/page_2/magazine/9907/mokuji.html#tokusy1

少し中を紹介します。

「バイオ人工器官の誕生」 D.J.ムーニー/A.G.ミコス
成長因子などの分子を患者の損傷部位や再生させる必要のある臓器へ
注入・挿入し、元の組織を再生させる技術に関しての記事。

「臓器づくりの決め手−−胚性幹細胞」 Roger A. Pedersen
体内のどの細胞にでも変化するという胚性幹細胞を培養し、体内の損傷
した場所の細胞を再生させる技術に関しての記事。

このように、現在、様々な再生技術が研究されているということだそうです。

ところで、少し疑問に思ったのですが、この胚性幹細胞(ES細胞-
Embryonic Stem Cell)は卵子から染色体を取り 除いたうえで、別の細胞
から取り出した遺伝物質を注入し、その卵子を培養して、成長させた胚か
らとりだすそうです。うまく培養すると心筋細胞や、肝臓細胞や、血液細
胞や、皮膚の細胞や、膵臓の細胞、さまざまな臓器をつくり出すことがで
きるそうですが、このES細胞を取り出す前の活性化された卵子を子宮に
戻すと人間が生まれるわけで、これは倫理的に問題にならないのでしょう
か?また、今は試験管の中で培養されているので細胞までしか培養されま
せんが、人工子宮やその他の手段で臓器まで培養できるようになった時に、
どこまで細胞分裂を許すか、意識さえなければ、生命とはみなされないの
か、といった問題も起こるのではないでしょうか。

非常に有用な技術ですが、どこかで線を引いておかないと、全面的には認
められないように思います。アメリカでは、ES細胞を得るために牛の卵を
脱核して人間の体細胞を放り込んで、そこから試験管の中で培養するとい
うことを考えているグループもあるそうですし。

以下の資料も参考になります。

「第4回科学技術会議生命倫理委員会議事録」
http://www.sta.go.jp/shimon/cst/80618_4.html
科学技術庁長官を交えて行われた、クローン技術やES細胞での臓器培養の
生命倫理の問題点の議論。ES細胞についての技術的な説明もされています。


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