[BlueSky:06542] Re: エチゼン クラゲ


[From] "Yamaguchi" [Date] Fri, 7 Oct 2005 07:42:54 +0900

> ところで、クラゲみたいな単純な生物は、切ってしまって逆に
> 再生して増える、なんてことはないのでしょうか?ニュースでは
> エチゼンクラゲは再生能力は低い、といってましたが、再生する
> ことはするんですよね。確かヒトデとかは切ったら増えたと思った
> のですがクラゲは大丈夫なんでしょうか?

小宮さん、おはようございます。

ヒトデの再生能力は有名ですが、それでも万能ではありません。
多くの種で失った部分を再生することはできますが、バラバラに
なってからそれぞれの破片が完全な個体になるようなことには
明瞭な限界があります。たしかに、自切や体分裂によって無性
的に繁殖できるヒトデもいますが、種が極めて限られています。

さて、クラゲですが、固着している小さなポリプ時代には無性生殖
でドンドン分裂して増えますが、成体では話が違っています。

エチゼンクラゲを含む鉢クラゲ類では具体的な報告を見たことは
ありませんが、若い時はかなり再生能力を持っているだろうと
想像しています。しかし、大きくなって有性生殖できるようになった
個体は卵や精子を放出してすぐ死滅するようです。問題になっている
大型の個体は死滅回遊をしているのでしょうが、迷惑千万ですね。

大きいのを切り刻んで、その破片が再生して個体が増える心配は
ほとんどないだろうと思います。もちろん、まず実験的にやってみて、
何がどうなるか確かめながら実行するべきですね。

先月下旬に能登半島の千里浜で砂浜貝類の採集調査を行い
ましたが、海岸には多数のエチゼンクラゲと少数の別の大型
クラゲが打ち上げられていました。エチゼンはほとんどが破損
個体でした。

エチゼンクラゲの大発生は、昔は珍しい現象でしたが最近は
頻発しています。これがハリセンボンの大発生とごっちゃに
なって起こっていて、定置網漁業は散々な目にあっています。
迷惑動物の大発生の陰には環境撹乱が起こっている可能性
がありますが、自然に大発生するものでもあるので、原因究明
は難しいことです。

山口正士
琉球大学理学部海洋自然科学科





▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。