[BlueSky:06310] Re: 外来種問題


[From] "Yamaguchi" [Date] Thu, 6 Jan 2005 13:49:07 +0900

>> 葛貫さん、下のURLの記事をごらんになりましたか。
>>
>> http://www.chugoku-np.co.jp/setouti/newseto/980525/980525.html
>
> いま、はじめて見ました。
> 1998年の記事ですね。
> 6年経っても、現場にこのような視点は取り入れられられていない
> ということになるのでしょうか。

葛貫さんも指摘されておられたと思いますが、経済的に価値のある
生物、資源生物は積極的に国境を越えて広げられてきました。
水産資源生物でも同様です。また、ある地域では経済価値のある
種でも場所によっては侵入的外来種の焼印を押されています。
南半球の海に事故的に移入したワカメなどがその例となります。

問題は、プラスだけでなくてマイナス効果もあり、その予測を事前に
することが難しいので、あくまでも慎重に検討することが前提ですが、
水産関係ではそもそも検疫などのチェック体制が必要であること、
遺伝資源として集団をみること(つまり調べること)、など基本が
まるで認識出来ていないのです。所管官庁がまるでダメなんです。
自分の所でやるべき仕事であると思っていないのではと疑いたく
なります。

また、外来種問題が環境問題として議論されることが、問題を
さらに複雑にしています。誰かしらの利権がからむことがあると、
合理的な議論がどこかにすっ飛んで消え、政治問題化しますね。

遺伝資源としてみる場合、近隣諸国に分布する同種であっても
遺伝的に分化した集団は育種の観点から利用できる潜在性も
あります。そのためにも、できるだけ、むやみな混乱を避けたい
ものです。外来種、外来遺伝集団が悪とは限らないのが資源
生物です。賢く利用するためには、無秩序な現状を改革すべき
です。

おかげで、今、ハマグリが日本では一体全体どうなっているのか、
非常に面白い謎解きの問題と取り組んでいます。外来種である
シナハマグリが定着しているのか、また在来種と交雑しているのか、
データの集積中です。貝塚から出土した殻の計測、70年あまり
前になされた計測データ、そして現在の貝のデータから、ある集団
では明白な変化が読み取れました。あとは分子遺伝情報で確認
が必要ですので、その準備を進めています。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科


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