[BlueSky: 5652] 気候変動と生物の絶滅


[From] "suka" [Date] Thu, 8 Jan 2004 13:28:04 +0900

青空メーリングリストのみなさん
                      須賀です。

このメーリングリストでの最近のやりとりとあまり関係のない
話題で恐縮ですが……

地球の温暖化をともなう気候変動がすすむと、その影響で
今後50年間に生物種の大規模な絶滅が起こる可能性がある
という論文が、1月8日づけのイギリスの科学誌ネイチャーに
発表されたそうです。

この論文のフルテキストはまだ手元にとどいていないのですが、
とりあえず、入手できた情報をお知らせします。

ネイチャー・ジャパンのホームページ
http://www.natureasia.com/japan/index.php
でユーザー登録をすると、カバーストーリーの日本語要約や
論文の英文アブストラクトをよむことができます。

カバーストーリーの日本語要約はこんなふうになっています。

「動植物種の多くはどうやら気候変動を生き抜いていけそうもない。
新しい解析研究によると、2050年までに予想される気候変動の
結果、調査対象とした陸生動植物1,103種のうち15〜37%が最終
的には絶滅してしまうだろうという。これらの生物種の一部にとって
は生きるのに適した場所がどこにもなくなり、また生物種によっては
生息に適した気候の地域にどうやっても到達できそうもない。温室
効果ガスを産生しない技術へと迅速に移行し、かつ炭素隔離策を
とることで、15〜20%の種を絶滅から救うことができるかもしれない。
……(後略)」

産経新聞のホームページに出ている共同通信の記事によると、
この研究は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による
気温上昇予測をもとにして生物種の生息可能範囲の変化を
コンピューターで予測したものだそうです。
http://www.sankei.co.jp/news/040108/0108kok046.htm

また、これの研究についてUNEP(国連環境計画)の事務局長が
異例の声明を発表したとのことです。

「 ≪UNEPが異例の声明≫
 地球温暖化の影響で100万種もの生物が絶滅の危機に立たされる
との研究結果について、国連環境計画(UNEP)のクラウス・テプファー
事務局長は7日、異例の声明を発表し「温室効果ガスの排出を減らす
ための京都議定書を一刻も早く発効させることが世界にとって非常に
重要であることを示した」と訴えた。
 事務局長は「もし100万種もの生物が絶滅の危機に立つとしたら、
生活の糧や薬の原料などを地球の自然に依存している世界の何十億
という人に、その影響が及ぶことになる」と指摘した。(共同)」

朝日新聞のホームページも記事が出ています。
http://www.asahi.com/science/update/0108/002.html

以上、ご参考になりましたらさいわいです。

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 須賀 丈(すかたけし)
 長野県自然保護研究所
 電話: (026)239-1031
 Fax: (026)239-2929


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