[BlueSky: 5518] Re:5516 ML での議論


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Mon, 03 Nov 2003 12:18:42 +0900

こんにちは、葛貫です。

ゲンゴロウさんwrote:
> 私のようなオジサンが、、仮に、大学に迷い込んで、
> 学内を歩いている方に声をかけられるとしたら、、、
> 「すみません、出口は何処でしょうか?」くらいなのに、
> MLという世界、というかいくつかの開かれたMLでは、
> とても貴重な経験をさせていただいていると思います。

↑を読んで、受験する前に資料をもらいに大学を訪ねた時のことを
思い出しました。本部の在処の見当がつかず、雨の土曜日、人気の
ない構内をうろうろしていた時、偶然通りかかった学生さんに道を
尋ねたところ、事務所だけではなく希望していた学科の研究室にも
案内して下さいました。いろいろな研究室の先生や学生さんに、実
際取り組んでいる研究のお話を具体的にうかがうことができました。
今、考えると、すごく運がよかったんですね。

> いつもご紹介のもの、私には、わからないながらも、、
> 目は通してます。先日のサイレントシナプスは、、、
> 何度も読んでしまいました。。
> (むずかしいので、何度もなのですが。。。。)

ありがとうございます。
取り敢えず関連のありそうなものを列挙したくなってしまうのは、
抄録員のさがでしょうか(^^;。

サイレントシナプスの話は、【5501】の
> 【脳の構造】
>  脳に記憶するということは、有機的に脳を作り上げるということ。
> 様々な考え方を知り、その考え方を記憶するということは、様々な
> 感受性をもたらす脳を作ること。。その脳を持った親が子の脳を作
> り、その子がまた親になり子の脳を作り上げる。脳は代々、遺伝し、
> 徐々に作られて行く。世界に生きている人の脳は、そうやって作り
> 上げられているのだろう。
に関係がありそうだなと思ってあげました。

「脳内の神経細胞の間を結びつけ、情報伝達を行っているシナプス
の発達は、遺伝子によって決められた通りに生後単調に発達してい
くのではなく、外的刺激が質的あるいは量的に有るか否かで大きく
変わってくる」と経験的に言われてきた。

そこで、マウスを使って、BDNFという記憶や学習に関係する蛋白質
に蛍光標識を施して、その移動や放出等について観察してみた。
そうしたら、実際に、脳の興奮性シナプスの発達が、神経細胞の電
気的活動(環境因子)と脳に由来する神経栄養因子(遺伝的素因)
の協調的な働きで起こっていることがわかった。

感受性の高い時期(臨界期)のシナプス形成にもBDNFは、重要な役
割を果たしていることが明らかとなり、臨界期に獲得された変化は、
生涯にわたり安定して定着するということがわかった。
脳の発達には、臨界期に外部から適切な刺激を受けることが重要だ。

 BDNF:脳由来神経栄養因子(Brain-Derived Neurotrophic Factor )
 中枢神経細胞の生存と突起の伸びなどを促したり、シナプス伝達
 効率を増強したり、シナプス長期抑圧を阻止する作用を持つ物質。

というようなお話で、

>  先進国の人々の脳。知識は師から学ぶ。そして子が自ら作る。
> 記憶される事柄は、「物的な富」を生み出す技術的な情報。
> 「心的な富」をもたらす記憶がなく、思想がなく、思潮がなく、
> 脳がない。「こころの貧困」が溢(あふ)れる。
>  技術的な情報を欲しがる脳の幸せは先進的な情報。しかし、
> 先進的な情報が故に、鮮度が落ちる。喜びに恐怖が付いている。

実際、「そのもの」を体験した時に発生する神経細胞の電気的な活
動を伴わない「知識」とは、どのような位置付けになるんだろう、
と思ったのでした。

【5343】で『「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学』
山鳥 重(ちくま新書339)という本を読んで「!」と思った部分
をあげてみたのですが、「言葉は頭を整理する道具だが、音だけを
気分で使っていると、頭の方がそれに慣れてきて、頭の中を記号
だけが流れるようになり、その記号の意味を問うといういう自然な
心の動きがなくなってしまう。」というところと関係があるように
思われました。

やはり「自然を語る」世界だけに入り浸るのではなく「自然と語る」
姿勢が大切だなと思った次第です。

> 私は、対人関係がちょっと苦手で、目の前に相手の顔があると、
> 思考が止まりますので、その意味でもMLは助かります。

そうなんですか?
前回、ゆとり教育から水関係への話題に流れていくスレッドで、ML
がグチャグチャした時、わかりやすい例を引きながら、ゲンゴロウ
さんが書いて下さった[4178]を読んで、何が問題になっていたの
かが、ようやくわかり助かりました。読み手の立場を考えて、ずい
ぶん時間をかけて書いて下さったんだろうなと、感謝しています。

いろいろな場面で、それぞれの人の持ち味が発揮される、面白いで
すね(^^)。



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