[BlueSky: 5388] Re:5386 トラフグなど


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Sat, 27 Sep 2003 17:52:20 +0900

葛貫です。

driadさん wrote:
> 手紙が電子メールになって成立したMLというのは
> なにやら深刻に対話しているようにみえて実は
> ぶんげー愛好家たちによる
> 口語自由詩の発表会だったのです…

確かにそんなものかも(^^;。

以前【2327】にも書いたのですが、専門的なことで、焦点の定まっ
た問いに対する答えを得たい場合は、MLで尋ねるより文献をあた
ると思います。イベント等の情報を提供するのを主目的としている
MLもあるけれど、私個人としては、ある分野の専門家が、自分の専
門領域の周辺をどのように認識し、自分の研究をどのように位置付
け、どのような研究の背景・動機を持っているのかの方が、知りた
なと思います。そして、「ある専門家にとっては周辺である分野」
の専門家、あるいは、全くの素人との間の、認識の一致やズレのよ
うなものを知りたいし、それがMLの中での対話によって、修正さ
れたり、深められたり、新たな視点がでてきたりする過程を、楽し
みたいなと思います。

文体にも、それぞれの個性が出て面白いですね。

先日読んだ詩人の谷川俊太郎さんの「風穴をあける」(草思社)に、
************
散文は書き分けることができない。散文はただひとりの自分という
個にその根をおろしていて、書き分けようとすれば、個は分裂して
しまう。書いたものに生身の人間として責任を負わねばならないの
が散文というものだろうと私は考えているが、その責任の負いよう
がなくなる。だが詩はもっと無責任なものだ、それは基本的にアノ
ニムであっていい、個よりももっと広く深い世界に詩は属している。

こういう言いかたはもちろんある種の抽象であって、現実には詩に
よって詩人の思想が問われるし、作者の責任の負いようがない小説
だってある。だが、詩、小説を問わず、生身の作者の容量を超えた
嘘八百が文学の魅力の大半をなしているのは否定できない。
・・・中略・・・
私の言う散文は文学の形式とは関係なく、もっと等身大のものであ
り、自分を偽ることのできぬものである。そこに自分の文体をもっ
ていないということは、私の考えが、まだ本当に私自身の経験や行
動にむすびついていないということだろうか。自分にひそむ何か一
貫したものをまだ見出していないようなもどかしさである。
・・・中略・・・
一時私は「むだばなし」、「立ちばなし」というようなかたちで 
散文をかいてみたことがある。できるだけ話し言葉に近い文体で、
肩の力を抜いて書こうとしたのだが、意図して選んだ文体にはどこ
かわざとらしさがつきまとう。詩が上手く書けた時の自然な感じと
は違う、一種の緊張から抜け出ることができなかった。世間話をす
るように散文を書くのが私の夢だが、私はまだそれができるほど世
間がわかっていないようだ。(P.12‐13)
*****************
という一節がありました。

昨日、岩波書店の「科学」のサイトをのぞいてみたのですが、今月
の特集は「科学と言語」で、木下是雄さんの「科学者とことば」が
面白かったです。

岩波書店の科学:http://www.iwanami.co.jp/kagaku/
科学者とことば:http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaKa200310.html

TPOに応じて詩、散文、論文を使い分けて書くことができ、また、
読み分けられるのが理想なのでしょうけれど。世間話をするように
散文を書けるようになれたら素敵だなと思いました。

【5386】:
> ようするに人口が環境許容量を超えて密飼いになってるので
> ふぐ同様至る所でだましだまし人は暮らしている
> ってだけですけどね…

間引けない以上、公としては、だましきれなくなったところを繕い
ながら暮らしていきましょう、ということになるのではないかな。
アレルギー等、閾値に個人差があるものは、辛いですね。
敏感な場合、それなりの生業をみつけて、環境許容量に余裕のある
所に引っ越したり、手間ひまかけて納得のいく食材を探したりとい
うこと自分の力でしなければならなくなってしまうんですものね。
凡庸な物言いですが、インターネット等が普及して、同じような悩
みを持つ人や支援しようとする人がネットワークをつくりやすくな
ったのは幸いなことだと思います。
【5372】で転送して下さったanewexistというMLも、そのような
ネットワークに関係するものですか?


閾値に個人差といえば、香港の鈴木さんの [BlueSky: 5131]SARSに
関して がずっと気になっていたのですが、
「日本人は新型肺炎にかかりにくい?遺伝子の型が関係」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030926-00000514-yom-int
という記事を昨日みかけました。

原文の抄録はここ
Association of HLA Class I with Severe Acute Respiratory
Syndrome Coronavirus Infection
http://www.biomedcentral.com/1471-2350/4/9

新聞記事になると「Independent studies are needed to test
these results.」という最後の一文は抜けてしまうのですね(^^;。


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