[BlueSky: 5216] Re:5213 祝  4 周年!


[From] "suka" [Date] Tue, 8 Jul 2003 18:23:41 +0900

葛貫さん みなさん

    須賀です。

葛貫さん、青空メーリングリストの誕生日をおぼえておいて
くださったんですね。僕はすっかりわすれていました。
もう4年もたつんですね。

葛貫さんのご指摘で気がつきましたが、このメーリングリスト
ができたときには、まだ長野県知事は田中康夫じゃなかった
んですね。長野県もいろいろと改革を試みようとしていますが、
大きな組織でもあり、わかりやすいかたちで成果があがって
いるか、となると首をかしげられる方たちもたくさんいらっしゃる
かもしれませんね。説明責任や透明性はますます努力を
もとめられるようになってきたと感じていますが、地味な分野で
長い時間をかけてはじめてはっきりした成果につながっていく
ような内容について、手短にわかりやすい説明をすることの
むずかしさも感じています。

実はこの日曜日まで2週間ほど、インドネシアにミツバチの調査
に行ってきました。去年からはじめた共同研究で、今回で3回目
の訪問になります。日本でのほかのいろいろな仕事と並行して
この調査をちょっとずつすすめていくの大きな楽しみになって
います。インドネシア科学院の研究者との共同研究です。行く
たびに発見がありますが、自分にできそうなことのちっぽけさ
をも思います。

今回、インドネシアから帰ってきてたまっていたメールをまとめて
よんだとき、一番心にすとんとおちたのが、葛貫さんのこのことば
でした。

> 実物をみて、その大きさや時間の流れを体感することって、大切な
> ことなのだろうな、と思います。

今回はスラウェシ島に行ってきました(お手元に地図のある方は
どんなかたちをしているかごらんになってください)。アルファベットの
Kのような形で4つの半島が大きくのびています。このうちの2つの
半島のあいだを船で一往復しました(ただし、別のルートです)。
昔のひとは、どうやってこの島をひとつの島と認識したんだろうと
思いました。この島は、ローラシア(アジア方面)起源とゴンドワナ
(オーストラリア方面)起源のふたつの生物相のまじりあう島として、
19世紀の博物学者ウォレス以来、生物地理学上の注目をあつめ
ています。けれども船にゆられて、デッキで波のしぶきをあびながら、
この島の大きさをぼんやりと実感した時間が一番印象にのこりました。

共同研究者の所属機関は、インドネシア科学院の生物学研究所です。
ここには今年まで数年間、JICAによる生物多様性保全のための
開発援助のプロジェクトがおこなわれていました。たまたま僕の訪問
中にそのプロジェクトがおわりました(僕の共同研究はJICAの援助
とは直接関係がありません)。このあいだにあたらしい建物ができ、
なかに立派な昆虫標本庫もできました。ジャワ島にあるグヌン・ハリムン
国立公園の保全も、このプロジェクトの一環としてあつかわれました。
これまでにこのプロジェクトの成果として十数冊の出版物がでたそう
です(その多くはインドネシア語)。この研究所には50人くらいの
研究スタッフがいるそうです。

僕の共同研究者(ジャワ人の昆虫学者)は根っからのフィールド・
ワーカーという感じで、僕とのスラウェシの調査がおわった直後から
すぐにスマトラ島での別の調査に参加すると言っていました。森林の
なかに3つだかの調査地がもうけられており、普通の交通手段がない
のでヘリコプターでそのうちのひとつに降ろされ、数日調査してから
また次の調査地に運ばれる、というような感じで3週間くらい滞在する
と言っていました。

JICAによる支援の規模も、研究所のもともとの規模も大きくて、
正直なところ、うらやましいかぎり、という感じなのですが、一方
インドネシアという国の大きさと民族の多様性、そして解明されて
いない生物相や生物資源の膨大さを思うと、さらに気が遠くなる
ような感じがします。

実は、この4月には、仕事とは別に個人的な興味から、コスタリカ
にも行ってきました。ここの生物保護区やエコツーリズムの様子にも、
(インドネシアとはずいぶんムードがちがいますが)印象にのこること
がたくさんありました。お話ししたいこともたくさんあるのですが、自分
のなかで消化しきれないうちに、毎日の生活におしながされてしまって
います。

なんだか情けないような作文になってしまいましたが、こんなことを
最近は茫漠と思いつつ、長野での自分のちっちゃな仕事にそれを
どうつなげていこうかと考えているところです。

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須賀 丈(すかたけし)
長野県自然保護研究所
電話026-239-1031
Fax026-239-2929











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