[BlueSky: 4939] 広河隆一氏トークライブ・レポート


[From] mataro Y・E [Date] Sun, 02 Mar 2003 22:14:55 +0900


 こんばんは。遠藤@埼玉です。
 昨日ピースボートセンターとうきょうで開かれた、広河隆一氏トークライブ
のレポートをご報告いたします。私が取ったメモをもとにしているため、一部
不正確な部分もあるかもしれないということをあらかじめお断りしておきます。
広河隆一トークライブ
 「パレスチナ・アフガニスタン・イラク・チェルノブイリ」
 〜今子どもたちのためにできること〜
 
 チェルノブイリ
 最近になって隠されたデーターが明るみに出た。調査費用はIAEAなどの
機関から出ているため本当のデーターがわからなかったが、白血病はIAEA
が発表した以上の数字になっている。ほとんどの事故は都合が悪いところは隠
すから、周辺地域の住民は汚染された食べ物を食べていた。
 事故の取材が終わって帰国してから、日本の消防士に「事故が起こったら、
現場に行って消火しろ」と部下に命令できるかといったら、彼は「出来ません」
といった。防護服があれば出来るはずだろうといったら、「そんなものはあり
ません」という答えが返ってきた。そういうものがあると思っていたからショッ
クだった。敦賀に行ったら防護服を見せてくれたが、こんなものは役に立ちま
せんといわれた。ガンマ線を防ぐためには2.5CMの鉛が必要だ。そんな厚
い板を身体に纏ってもなんの役に立たない。
 被爆の影響は日本に換算したら、東京から岐阜までの範囲に渡る。 子供た
ちも甲状腺ガンで苦しんでいる。手術後も自力でカルシウムを吸収できず、薬
で補うが薬代が高いために定期的に肩胛骨を切り裂き、そこから薬を入れてい
る。IAEAやWTOが事故の影響を否定していたため、発見・治療が遅れた。
こ事故もガンが早期発見できなかったのも人為的な事故だった。国家的な支援
もない。

 パレスチナ
 ニュースウィーク誌が表紙でパレスチナのインティファーダの写真を扱った
が、日本とアメリカではキャプションが全く違う。日本の方がまだ良心的だが、
多くのジャーナリストはパレスチナ人は残虐だというイメージを植え付けた。
 ニコしている子供の写真を撮った瞬間から、子供たちは戦車の砲弾に吹っ飛
ばされている。こういうのを虐殺という。、母親は泣き叫び、男性は虐殺され、
中には杖をつきながら殺されたのもいる。イスラエルは入植地を作り、整然と
した地域に住んでいるが、パレスチナ人は雑然としたキャンプに住んでいる。
私がこの写真を撮った最初の人間だったため、イスラエル軍は検閲してフィル
ムに傷をつけた。
 パレスチナ人の抵抗は投石から次第にエスカレートした。戦車を銃で撃って
もどうにもならない。抵抗の意思表示として銃撃した。ラマラの子供たちは軍
事封鎖地域に指定され、学校にも行けない。軍事封鎖地域になると、ベランダ
に立つだけでも銃撃される。ベツレヘムでは、イスラエルだけは通すがパレス
チナ人は通行を妨害する。イスラエル軍の催涙弾はキツく、爆発すると人々は
七転八倒し、女性は流産し、子供は窒息する。
 イスラエル軍は撮影をやめろと言う、私自身も拘束された。イスラエルは、
占領に反対する人はテロリストと呼んできた。学校でもパレスチナ人のことを
教育しない。そのためパレスチナ人を「テロリスト」と呼ぶのである。

 アフガニスタン
 米軍の空爆のあと、従軍記者は北部同盟と米軍はテロリスト・アルカイダを
追放したと書いた。空爆の被害者は3〜4,000人だが、実際はそれよりも
多いのではないかという感想を持った。空爆の影響で救援チームが届かずに死
ぬ人が多く、チョムスキー(「9・11」著者)はこれを「静かなジェノサイド」
と呼ぶ。
 アフガン難民の多くは屋根がないところで天露を凌いでいる。飢えや病気に
苦しみ、医師も看護婦もいない。マスコミはタリバンがいなくなって平和が戻
ったという印象をばらまいた。

 イラク
 アメリカの空爆で浄水施設などの社会施設を破壊されたため、きれいな水が
飲めない。栄養失調で子供たちが病気になって死んでいく。子供たちの病気の
多くはガンである。アメリカはイラクを攻撃するために油田を爆発させる写真
を世界中に回したが、クゥエートの人間は西側諸国の要請でこの写真を撮った
ということを認めている。イラクのやっていることはヒドいが、マスコミのや
っていることもヒドい。
 シェルターで焼き殺されたのはほとんどが女性・子供。身体の一部が付着し
たあとがクッキリ残っている。だがアメリカの全部を敵視しているわけではな
く、政府と個人の扱いは違うときちっと捕らえている。CDショップのほとん
どは外国のものだ。
 抗ガン剤の影響で、子供たちは頭の毛が抜けてしまっている。白血病の化学
療法はかなりキツく、生きるだけでもかなりつらいらしい。医者は、子供が生
きる気力が亡くなるのが怖いといっていた。
 チェルノブイリの子供たちは、傷跡を見せたくないために家から一歩も出な
い「引きこもり」になった。そのうちの一人に日本語の本を渡したところ、彼
女は一人で日本語を勉強し始めた。生存率は40%といわれていたのに、2年
後キエフ大学の日本語学科に入学し、今は通訳を目指して勉強している。生き
る気力は医者があげられるものではない。子供たちに爆弾が落ちるだろうから、
病院に行っても逃げられないといって手術も見合わせているケースが多い。

 質疑応答の答え
 ・ジャーナリスト以前に人間でありたい。知る権利を守るのがジャーナリス
トである。爆弾を落とす側に奉仕するのはおかしい。こ人間がどっかで死んで
もしょうがないようなことをいう人間はジャーナリストではない。そういう人
間は○○新聞の人間と名乗った方がいい。
 ・ イラク人に脅威を与えているのはアメリカだ。フセインを支持するとい
うより、アメリカに対して抗議をしている。昔イスラエル軍がレバノンを空爆
したが、れはパレスチナ人がいるからだとレバノン人に圧力を与えるためだ。
イラクは少数派によって支えられている。その少数派はクルド人も入っている。
空爆は怖れていないが、内乱がもっとも怖いという人もいる。
 ・ゴルダ・メイア(元イスラエル首相)の自伝にはパレスチナ人はいないと言
い切っている。良識派はいるが少数派。都合の悪い歴史を見ない人間が上層部
にはいる。パレスチナ人虐殺を告発すると告発者本人が社会的に抹殺されるた
め、国会議員に手紙を書き、国防相に圧力をかけたこともあったが、虐殺事件
の事実は明るみに出ないままということもあった。イスラエル軍のパレスチナ
人虐殺に触れているメディアもあるが規模が小さい。
 ・偕成社から出た「世界の子供たち」というシリーズの本を受け持った。そ
れが世界中に翻訳されたが、「パレスチナの巻」はむこうでは翻訳されなかっ
た。アメリカの中やイギリスではパレスチナのニュースが伝わらないのが現状
だ。
 12歳の女の子は、自分が里親代わりになって仕送りを続けていた。その子
は「仕送りはいらない」と手紙を送ってきた。看護婦になるために病院で働き、
授業料をタダにしてもらったのでお金はいらないといってきた。彼女は希望を
みつけた。この子の場合も希望が見つかることによって立ち直った例だ。 明
るい未来があれば、自爆テロは起こらない。閉じこもって自暴自棄になる子供
に希望を持たせるのは医者以外でも出来るかもしれない。
 ・イスラエル兵があんなに残虐になれるのかというと、人間の尊厳の代わり
に憎しみを植え付けられるからだ。和平の動きがあったとき、ダヤ百科事典の
編集者は、この占領をすぐにやめさせないといけないといい、いろんな動きを
提唱した。その一つが徴兵忌避だが、徴兵忌避をやった人間は村八分になった
り、就業妨害がおこったりした。ユダヤ人の中にもシオニズムを認めるが、占
領は認めないという人が沢山いる。だがパレスチナ人との構想が激しくなる中
で、その原因を認めず恐怖感を煽る人間が多数派になった。
 ピースボートにはがんばって欲しい。船を出すだけでなく、メディアも作っ
て欲しい。そのあとどうするのかも考えて欲しい。現地でやらなければならな
いことはたくさんある。

 講演はここまで。
 いずれ、きちんとした形でHP上で発表したいと思っています。

 広河隆一氏の講演は、私のHPにも収録しています。
 こちらもあわせてご覧ください。
 IAVEセミナー「核のない地球を作ろう」
 2001年12月2日
 http://page.freett.com/gpwn/c20011202.htm
 
 
 
 

☆☆☆☆☆☆☆―――――――――――NO WAR!
夢と希望がある限り   
     私は決して諦めない!!         
      遠藤 嘉則  Yoshinori Endo
       mataro@jca.apc.org
  http://page.freett.com/gpwn/index.html
WE WANT PEACE!――――――☆☆☆☆☆☆☆



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