[BlueSky: 4828] Re:4826 食糧危機


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Mon, 03 Feb 2003 17:08:39 +0900

葛貫です。

山口さんwrote:
> 今の教育では、食べ物を生産して消費する喜びやそれに伴う
> 苦労を生徒に体験してもらう工夫はどうなっているのでしょう。
>
> 中高生だけでなく、小学生からも総合学習などに関して、私の
> HPの情報の利用依頼が頻繁に来るような時代になっています。
> しかし、頭の中だけで「学習」しているのではないかと心配です。

我が家の子供達が通っている小学校は,近所の農家の方達が田んぼ
と雑木林をつかわせて下さり,農作業の指導もして下さっています。
学年に応じた農作業を受け持ち,6年間で米作りに関する一通りの
体験をさせてもらっています。年末に6年生が全校生徒分のお餅を
つき,5年生が稲わらで草履をつくって,今年度の米作りが終わり
ました。

子供たちは,春先,蜂が蜜を集めていたレンゲが鋤込まれてゆくの
を見学したり,水が入った田んぼでカエルやヤゴを見つけながら
草むしりをしたり,秋に鳥を気にしながら刈り取った稲を干したり
する過程を通して,いきもののつながりを肌で感じとっているよう
です。中学生になると希望者は酪農体験もさせてもらえます。

そのような場を提供し,サポートして下さる農家の方たちがあって
はじめてできることで,学校だけではできないことだなと有り難く
思っています。

街中の小学校では,発泡スチロールの箱に土と水を入れ,米作りを
しながら,そこで見られるいきものを観察するという授業をしてい
るところもあるようです。

朝日の新聞のサイトにある「特集:ゆとり教育」
http://www.asahi.com/edu/yutori/index.html
という記事を見ると,「総合学習」の時間を何に使うかは,学校に
よってまちまちだし,親の希望もいろいろなようですね。

私は,学校に何を期待しているんだろう・・・と考えてしまいました。

先日,本川達雄さんの「歌う生物学」(講談社)という本を読みま
した。

1978年から8年あまりの琉球大学での研究生活の様子を織り交ぜな
がら,専門外の人に「良い社会人になるための生物学」を心に残る
かたちで教えようと,講義の1時間のまとめになる歌をつくって歌
ってきたという話,とても面白かったです。

「みんな,仕切りをへだてて安全な場所から,自然を勝手にながめ
るのが,都会人の自然に対する態度ではないのか。それでは,人間
が自然の一員であり,生物の一種であることを忘れてしまう。自然
の中でやっていいことと,いけないことがあることも忘れてしまう
だろう。科学にしても,ただ一方的にながめているだけでは,生物
にとって本当に大事なことを,見落としてしまいそうな気がするの
だが・・・。(p.44)」

「テクニカルな講義をやったところで将来生物学なんかやらない
人間にとっては,何の役にも立たない。それよりも生物学という講
義で,あることを聞いて知っていると,それが自分が生きていく上
で役に立つとか力になるとか世界観を変え得るようになればいいん
です。そういうことを教えるのが教養というものだと思って,ああ
いう話をしていたわけです。(p269)」

という節が印象的でした。

「自然に見られている」と感じながら生物を学べる琉球大学の生物
学科って,すごいところですね(^^)。

最近,CD付きの本がTBSブリタニカから出版されたようです。
「歌う生物学 必修編 (CD3枚付)」
http://www.tbsb.co.jp/tbsb/x5books/_ISBNfolder/ISBN_02200/02231_utauseibutu/utauseibutu.html
↑このサイトで試聴できました。


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