[BlueSky: 4518] [4512] 杞憂ですよ (^^) 。


[From] Abe Yasushi(阿部靖志) [Date] Mon, 19 Aug 2002 04:16:31 -0400

阿部@イジャペルです。

 ゲンゴロウさんの話はいつも楽しみにしています。誰もレスをつ
けないので、つけてみました。と、言っても、専門外なので、結構
いい加減な話です。軽く聞き流して下さい。

> ある動物の細胞からクローンを作る場合、その動物から取りだした
> 細胞は、当然、すでに「時」を経ていることになります。で、その
> 細胞から作られたクローン生物は、すでに、親?と同じ時を経てし
> まっていることになるような気がしますが、どんなもんでしょう。

 哺乳類の体細胞クローンの場合は、細胞分裂の回数を記録してい
るテロメア(遺伝子にくっついている、分裂1回毎に一定量だけ千
切られる回数券のようなモノ)が短くなっているので、クローン親
の生物と同じ程度の残り寿命しか無い、という様な話が有ったと思
います。クローン羊のドリーにも、そんな話があったと記憶してい
ます。

 しかし、脳細胞なんかは比較的分裂回数が残っている筈(出生時
点で分裂が止まっているから)ですので、それを利用してやれば、
比較的『若い』クローン個体が得られる筈です。

 更に、逆転写酵素を使ってテロメアを長くする、という研究もあ
るようです。と言っても、現在はテロメアに直接タッチする事が目
標なようで、切るとか伸ばすとかは未だ未だ先の話みたいですけど。

 また、生殖に使われる細胞になる為の減数分裂の際にはテロメア
が復活しているので、その辺の機構を上手く利用すれば、親と同じ
遺伝情報を持った子を通常の発生と同じ手続で生産できる、と言っ
た事も考えられます。もっとも、この辺の話は未だ未だ技術的手が
かりが少ないので、思い着きの域を出ませんが。


> もしそうだとすると、食肉に消費されてしまう羊や牛でも、それと
> 同じように、生体バランスが崩れていることになるわけで、それを
> 食べ続けると、結果、私たちの生体バランスも崩れてしまわないの
> でしょうか。。。

 『生体バランス』が何を指すのか、よく解らないのですが、食肉
の種類で人間が変わったりはしないと思います。豚肉ばかり食べて
いるからと言って、人間が豚になったりはしませんから。

 食べ物の質、と言う話でしたら、日本人は随分前から妙なモノを
食べるように成っていると思いますよ(伝統的食生活の時点で可成
のイカモノ食いだという話はさておくとしても)。農薬・ホルモン
剤を利用して作られた穀物・野菜、死ぬまで大地と太陽を知らず共
食いで太った食肉、飼料で色を調整された卵…。最近では遺伝子組
み替え作物(耐農薬性が高いので、従来以上に農薬を高度に利用)
なんてのも出始めましたねぇ(生産国では合法化されている国も多
い。輸入食糧の多い日本では…)。

 失礼。話が逸れました。クローン動物が実用化され、食品として
多用されるようになったとして、それが悪影響を及ぼすかどうかは、
正直なところ、やってみるまで判りません(悪影響だと判定される
には気の遠くなるような時間も必要でしょうが)。

 ただ、ある程度まで『大丈夫だろう』と言う処まで技術が確立し
たならば、確実に実用化される筈です。とは言っても、クローン技
術に関しては、未だ未だ発展途上だと思います。少なくとも、食肉
生産に利用できるようになるのは当分先の事でしょう(残寿命の問
題は既に認識されているので、この問題が解決されなければ実用化
されないと思います)。

 それから。親がクローンであっても、その親が遺伝的な改造を受
けていないのであれば、正常な生殖を経て発生したクローンの子孫
は普通の個体と変らない筈です。仮に大量のクローンを作って環境
中に放出したとしても、遺伝情報の均一化(種の寿命の短縮?)に
多少は寄与するでしょうが、継続的に行われない限り、大勢に影響
を与えられないような気がします。


 結論としては、『杞憂』でしょう。天が落ちて来る事を心配する
より、もっと心配すべき事が有りそうな気がしますよ(^^)。


それではまた。 阿部 靖志


追伸:
 『やらない』人よりも『やる』人が注目されるのは、世界が変化
を望んでいるからでしょう。環境問題への対応だって『環境保護』
という見方をすれば『やらない』事に見えますが、実際は『今迄し
て来た環境破壊の中止』を『やる』ことにしたという事の筈です。

 何故、『やる』が注目されるかと言えば、今までの行動パターン
が引起す『問題』(万人に認識されている場合もあれば、殆ど誰も
認識していない場合もあり、後者の場合は多くの人々に問題を認識
して貰う事から始める必要がある)への『対策』として何かを『や
る』事が求められているからだと思います。


 社会変化の動因は、既に社会に内在しているのです。後は、それ
を如何に上手く利用して社会を動かすか、ですね(^^)。


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