[BlueSky: 4070] 進化をまなぶ意味


[From] "suka" [Date] Mon, 22 Apr 2002 18:46:49 +0900

みなさん
      須賀です。

すでにご存知のかたも多いと思いますが、あたらしい学習指導要領で
生物の進化が中学の教科書からは消え、高校でも必修ではなくなった
そうです。たしかその結果、進化について書いた教科書が検定で
おとされたという記事もあった記憶があります。

早稲田大学の長谷川眞理子教授(進化生物学)がこの流れに
異議をとなえるコラムを朝日新聞に掲載しています。

http://www.asahi.com/science/column/chokugen/020417a.html

みなさんはどう思われますか?

僕は長谷川氏の意見に賛成です。バクテリアにも樹にも人間にも
DNAがある理由は進化を考えないとよくわかりません。そのことを
ぬきにしてどうやってたとえば細胞や遺伝子のことを教えられる
んだろう?

ほかのメーリングリストに投稿した内容とかなさりますし、長谷川さん
の記事でもふれられていますが、生物多様性の保全と持続的な利用
を考えるうえでも進化を理解することは大事です。

地域の自然環境にはそれぞれの特色があります。生物の進化は、
そうした地域的に異なった自然環境を背景としておこります。その
土地の自然やそれがもたらす資源の「かけがえのなさ」は、進化に
ついて(文化や社会の歴史とあわせて)知ることで、よりよく理解
できるのではないでしょうか。

生物多様性ということばが地球サミットをきっかけとして日本国内に
ひろまったこともあって、この概念が身近な自然の保護や保全など
とふかい関係にあることが、一般のかたには少しわかりにくいところ
があるように思います。「グローバル」な問題であって身近な話じゃ
ないと思われてしまうことがある。ところが進化について知るとむしろ、
それがローカルなできごとのつらなりとして大きな意味をもっている
ことがわかります。

また、いわゆる「理系」の分野のなかには、数学や物理からイメージ
される領域のほかに、ナチュラルヒストリーの広大な領域があります。
このことを学ぶのに、進化はいい入り口になると思います。逆に地質
学・進化学・生態学といったナチュラルヒストリーの分野についての
イメージがないと、自然科学の輪郭に対するイメージそのものが
その実際の姿よりもかなりちいさなものになってしまうのではない
でしょうか。

   須賀 丈







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