[BlueSky: 396] 脳と精神誕生について Re:392 RE: 371-2環境問題と欲求


[From] Ken Goto [Date] Tue, 10 Aug 1999 01:51:24 +0900

GENNGOROUさん、青空MLの皆さん、
                  後藤@帯畜大です。
源さん【392】
>  つまり,鏡の中にいる像を自己と勘違いするところから,左右が
> 逆に感じる。ということから人間は,鏡の中の虚像に対して,頭では
> 虚像と分かっていても,それ以上に自己を感じていると思います。
> (他の霊長類は,虚像という段階で理解しているのだろうか。。)
虚像という認識は人間幼児でももてないでしょう。でも自分だと錯覚できる。

> それと,自己の発見は,記憶に今までの自分が残り,それを次の自己が
> 見れるということで,鏡が脳の中にあるようなものですから,自己意識
> がある動物は鏡に写ったものが自分だと気が付くのは簡単ですね。私,
なるほど。とても上手い表現です。

> 動物が好きで,犬などに自分を発見させようとするのですが,駄目です。
> ただ,ゴールデンレトリバーはとてもいやがります。気が付きつつある
> のかもしれないなあと思ったりします。
僕も犬好きですよ。

> 私,動物園大好きなのです。猿が一番すきです。
あはは、僕も猿好きです。

> 猿の種類によっては「餌なんていらねえ」などというプライドが
> あったり,騒ぐ私をぜんぜん見ようとしないのに,私がそっぽを向くと
> 私を観察している猿がいたりして面白いです。
> オラウータンなどはキョトンとした目をしていてとても愛情が深そう
> ですね。人間より好きです。
そうですね。大抵の人より綺麗な眼をしているのは確かですね。
尤も、僕は野生の猿の眼を観たことがないので、一般化はできませんが。

> ところで,霊長類の霊長は,不思議な言葉です。
> どういういみなんでしょうか。。。
> (「精神類」と同じ感じの言葉なんだろうか。。。)
英語で primates で、leader という意味です。その訳語が、万物の霊長の「霊
長」で、「最もすぐれたもの」。キリスト教的世界観に由来していると思います。

> >・・・つまり、われわれに近い魂をもっている、ということが
> >実感できます。
>
> 魂というと,崇高という意味に取れ,オラウータンに軍配をあげたい
> ところです。知性とか創造性,記憶力,邪悪性というと人間の
> 足元におよぶものはいないように感じます。
> ゴリラやオラウータンを想うと,人間やめたくなります。
人間には108つ(でしたか?)の煩悩がありますからね。
人間的知性とオランウータン的知性とは質を異にするものどうしですから、単純
な比較は危険であるように思います。明らかに、人間的知性の方が遥かに複雑で
すが、バランスというか調和という視点を導入して比較したらどうなるのでしょ
う?猿学では、人間的知性にどれだけ近いかという基準で研究が進められていると思
いますが、もっと別の基準を使うともっとずっと面白い知見が出るだろうになぁ、
と部外者として感じています。

> 他の移住可能な惑星が見つかったら,ゴリラとオラウータンを
> 移住させてあげたいものです。宇宙に優しい種を残そう!です。
お気持ちは分からないではないです。
人体実験ならぬ「チンパンジー体」実験なんて残酷ですね。もうやられていない
のでしょうか?

> >さて、↑の源さんの思考の里譴亡愀犬靴道廚ど佞里蓮⊃携藜膳
> >蓮κ娜鏃呂亮けるストレスによる脳幹・視床下部系の機能障害
>   ↑       
>   ここが文字化けで読めませんでした。

↓でどうでしょう?
> さて、↑の源さんの思考の流れに関係して思い付くのは、
> 新皮質系・辺縁系の受けるストレスによる脳幹・視床下
> 部系の機能障害です。食欲がなくなるほど悩みが深いよ
> うな場合はその典型ですね。これが持続したら大変です
> ね。あと、近年世間を騒がしているのは性欲減退とか。

源さん【392】:
> 私が,人間を好きなところはここです。
> 喜怒哀楽を我慢するのではなく,コントロールできるところです。
> それには,訓練が必要ですよね。
> 今の子どもたちにその訓練の場,時がない。訓練していない者が
> できないと責めてはいけないと思います。
責めずに、どうしたらよいでしょうか?

> 私,集中力はありませんが,性欲は人並み以上にあります。
> で,社会的な危険を感じた私の脳は,どうも,バカなことを私に考え
> 続けさせているようです。
> こういうことを考えていないと,性犯罪か,造幣局を襲いそうです。
> (半分冗談で,1/4はウソです)
う〜ん、たしか、中2ぐらいの時に習った、欲望の昇華(でしたか?)を思い出
しますね。性欲過多に悩むものはスポーツに励め、とか。

> >新皮質系の場合も全く同じです。
> >新皮質系の神経インパルス発火パターンの時空的変化の全体その
> >ものこそ新皮質系なのであり、ニューロンどうしの複雑な回路網
> >という空間的構造は、新皮質系の一側面というべきでしょう。
> >この空間的構造に依拠しつつ神経活動の時間変化を作り出し、
> >かつ、その過程で空間的構造自身が変容していくという、時空プロ
> >セスそのものが、新皮質系の実体です。
>
> ありがとうございます。ここまで,お話をしていただけるとは,
> 思いませんでした。(私もまんざらではなかった,と喜んでしまいます)
>
> 私が言いたいのは,このことではないのですが,とても似ています。
> 結論から先に申し上げますと。自己の獲得には「同時性」が必要
> なんです。哲学的な話ではありません。
>
> 「構造の中を走る電気信号」と「構造自体の変化」には同時性があり
> ませんので,あくまでも動物の肉体の維持の脳の話です。
>
> 脳の中で同時性のある現象とは,
> 「電気が流れる回路による信号」と「その流れた電気信号の強弱」
> という二つの現象です。
> 脳の中で,二つの現象が同時に起きているから,その相互存在で
> 人間には意識が生まれていると私は考えています。
> (どこにも著されてないので,後藤さんにお考えいただくしか
>  手はないです。)
冒頭の鏡の比喩を彷彿とさせますね。

ただ、脳科学は現代科学の目玉ですから、自己意識についてはわれわれが知らな
いだけで、先端の研究者はもっと詳しく知っているかもしれません。

人間は、自己以外の森羅万象を対象化(客体化)できるように、自己そのものも
対象化できる。さて、対象化された自己と、対象化している自己は全く同じでは
ありえない。

同じだとショートしてしまう、というか。言い換えると、対象化している自己自
身を対象化することは、少なくとも自己意識の中では原理的に不可能ではないか、
とふと思い付きました。

> この今という時間的な瞬間があるということだと思うのです。
> 「今」を感じるのは,自己存在の特徴的な感覚です。
> (時間など存在しないのにです。)
「今」は不思議ですね。

> >精神が新皮質系の活動の一形式であることはほぼ間違いない、
> >といってよいと思>われます。
>
> 精神は,構造体の変化という同時性現象から生まれる
> 「相互存在という仕組み」によってなされる「無から誕生」の産物
> ではないかと思います。
「無からの誕生」という言葉まではよく理解できますし、そうかもしれない、と
も思います。僕のもっと一般的な表現に肉付けを加えたようなものですから。

例えば、水素と酸素の化合によって水が誕生することを「無から誕生」と表現し
ているのですか?

僕のメール投稿数を減らすため、下記に源さん【381】についてレスします。

源さん【381】:
> 私が集団生物(超生物)を持ち出したのは,
> 「集団生物は人間とは関係ない意志をもつので,構成物である人間を
> 苦しめるよ」というのが,私の提言です。
> 「人間が人間を苦しめているように見えるけど,ちょっと違うよ」という
> ことです。つまり「人間が戦う敵は人間じゃないよ」と言いたいのです。
> 私は人間を苦しめる未知のことがあると想定してそれを探していますが,
> たくさんあるようです。これは,その一つの例です。
> このことを発展思考させると,政党の分裂,民族の団結,学校の集団生活
> のなかの諸問題が,別の面が少し見えてきます。
> たとえばイジメ合う子どもたちに,「君たちが悪いんじゃない」と言え,
> 親に,先生に,教育関係者に「まったく別なんだ!!違うんだ!!」と
> いいたいんです。
では、何が敵なのでしょうか?

> アインシュタインが膨大なエネルギーの存在に気が付き,発表しましたが,
> 歴史を少し知る者ならば,こん棒の運動エネルギー,火の熱エネルギー,
> 火薬の膨脹エネルギーが直ぐに武器に使用された歴史を知っています。
> アインシュタインがそれを予測できないはずはありません。
なるほど。僕ちょっと(大分?)迂闊だったような気がします。

> 人間にはなぜ,発表してしまうという欲求行為があるのだろう。
> 科学技術(文明)の発展とはなんだろう。などです。
> 私なりに結論を出したのは,前者は人間が不安定な精神存在だからであり,
> 後者は,人間の「自己存在の確立」からもたらされる「教えるという本能」
> ではなかろうかでした。(本能は脳に仕組まれたプログラムだとすると,
> 精神生物としての本能が,もうすでに脳にあることになる)
> 簡単に言うと,他の生物には研究対象を求められない人間独自の性質が,
> 人間を取り巻く問題に影響を与えているのならば,動物が「ウンコ」を
> するのに責任を取らなくて良いように,人間も責任をとらなくて良いと
> 思います。
>(中略)
> つまり,人間の責任は自分たちの癖や錯覚を明らかにしないことだと思い
> ます。それと,全人類に課せられたパラドックスの存在を研究しないこと
> だと思います。人間がしてしまったウンコ同士の関係を考えていたのでは,
> このことは考えられないのではないかというのが,私の意見です。
> 「ウンコ関係」じゃなくて「なぜウンコ」なんです。

というわけで、、、

源さん【392】:
> 環境問題から遠い話になりそうですが,人間の最大の
> 環境は人間ということで,人間ばかりに言及すること
> お許しください。
環境問題を人間の欲求、習性の視点から観ていこう、となるわけですね!
「遠い話」ではなかったようです。



後藤 健
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