[BlueSky: 3807] Re:3805 謝罪/ NGO・NPOならなんでもいいわけではない。


[From] "Takashi Goto" [Date] Wed, 14 Nov 2001 00:52:32 +0900

一ノ瀬さん

こんにちは。後藤@環境NPO研究会です。別にエールではありま
せんが、コメントだけさせてください。多少分裂気味ですが。。

>  私の#3805の発言は、論外の偏見と誤謬に満ちています。消去して書き直すつ
> もりだったのを、誤って送信してしまいました。不愉快に感じられたことが多数
> おられると思います。申し訳ありません..

「環境NPOけんきゅうかい」なんて名乗っているだけに、はっきり言って
一瞬頭上でヤカンが沸騰しましたが(笑)、すぐ謝罪メールがMLに載った
ので冷めました(熱しやすく冷めやすい=日本人)。

ご発言の最大の問題は、
「NGOやNPO」とひとくくりにしたところかな、と思います。確かにレベルの
低い団体はいますから、各論的に話すと面白い(←不謹慎?)テーマだと
常々考えています。NGO/NPOとしてはもとより、公式の場での発言者
として、論者としてのマナーすら守れない者が、「市民団体」を名乗ったり、
また、支持者を増やしたい政党や宗教団体が隠れ蓑に使っている場合も
あります。そういう者は、ぼくにとっては、どんな高度なことを話していても
「低レベル」です。NGO・NPOならなんでもいいわけでは決してありません。
もっといえば「環境」をやっていればいいわけではないのです。最低限の
マナーやモラル、さらにはスタイルが求められる時代ですよね。

しかし、やはり高度な専門知識、経験、きちんとしたディベート力、
外部スタッフ、、などの資源−−を持つNGO/NPOは、ぼくが面識
あったり、共に活動したり、あるいは信頼有る人の話を聴いたり、
関連書を見るだけでも、ぼちぼち増えていると思います。
多少分野のムラはありますが。(水は弱い)

さて、なぜわざわざこんなレスをしているかと言うと、一点だけ同感の
部分があったからです。

>特に日本のNGOは、原点に立ち戻るべきではないでしょうか..

この点は全くおっしゃる通りだと思います。しかもその原点は、彼らの
出発点に戻ると言う意味ではなく、NGO/NPOとしての原点、と言う
意味です。
これは全く動きとして無いわけではありません。
例えば今回のCOP7を見ても、多くの主要NGOが、会議中はさまざま
な攻撃的な声明を発表したりしていましたが、終了後の声明では一転、
前向きな姿勢を示しています。
これは、終わったことは終わったこと。いつまでも「反対反対」ではなく、
「いかに良い未来を築くか」というスタンスに移行しようとしているわけ
で、原点を探る努力の一つであるとぼくは評価しています。

それに比べて、今日の中央環境審議会専門委員会で、経団連は
 「環境税を導入してもCO2排出を抑制できるのか、効果は疑問」
 と、相も変わらぬ主張を繰り返しています。しかも、そこには一ノ瀬
さんが環境税を一部批判する時のような、理論的な根拠は見えず、
単に「税の導入は国際競争力の低下を招く」という、お話にならない
理由しかあげていません。同じくコメントした日本生協連が「環境税
の導入は環境保全型社会の形成に必要」と積極的に評価した上で
、「国の財政補てんの財源にするのではなく、温暖化防止のために
導入する税であることを明確にすべきだ」と、なかなかオモシロイ
主張をしているので、一層浮いて見えます。

一時は、企業のアピールがずいぶん賢くなって、旧態依然とした
活動を続けるNGO/NPOは世間から見離される、、と感じたことも
ありましたが、経済界のこうした論調は、「環境政策には何でも反対
経団連」と、良識有る環境的市民の反感を買うことでしょう。
環境税の場合、税の公平やGDPなどとの関連もあって、相当議論
が必要なテーマです。「国際競争力の低下..」云々はちょっと短
期的視点過ぎると思います。

こういう経済人が即悪者だとは言いません。今までの日本を築いて
きた牽引役ですから。特に今回統合団体のトップに立つ奥田さんに
は大いに期待しています。
ただ、一ノ瀬さんが引き合いに出した技術人にも言えるかもしれませ
んが、本当に優れた腕を持った熟練の技術者が、汗みどろになって
国のために軍事兵器を開発、生産していたなんて極端な例、時代も
あったわけです。そしてその頃から人間はろくに進化していない。
そういう見当違いな努力をしてしまう可能性は、人間であるかぎり、
企業経営者であろうが、技術者だろうが、NGO/NPOだろうが
有り得ると思うのです。

NGO/NPOも体質改善をはじめている「とは」思いますから、
それが見当はずれな方向に行かないよう、インターミディアリーなど
の「外野」的NPOがサポートする必要はあります。
一方で、産業界も、この情報公開の時代に、明らかに利権もろだし
の姿勢を示すことで市民から見はなされないよう、企業の社会貢献
とは何か、それに基づく正しいアウトリ−チとは何かについて、原点
に立ちかえって考える必要があるでしょう。

ではでは。

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後 藤   隆 [ Takashi Goto ]
E-mail: takapi-@sf6.so-net.ne.jp
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