[BlueSky: 3511] 生物の差別的名称 Re:3508 オオタカの親


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Tue, 3 Jul 2001 15:55:19 +0900

須賀です。

オオタカのいる雑木林についてのみなさんのアイデア
興味深く拝読させていただきました。僕のあたまの
なかに漠然とあったアイデアも思いもつかなかった
アイデアも出たので、つけくわえることはありません。

ところで、下の記事ですが、差別的ではと指摘をしたの
が長野県庁だったと記事にあったので、先週県庁から
電話があって、話の出所を調べるはめになりました。

葛貫さん:
>  #余談になりますが、
>  #「差別的名称:生物名でも追放、「標準和名」改名の動き」
> http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20010627k0000e040067001c.html
>  #という記事を見かけました。
>  #差別用語を語彙からなくせば、差別されてきたものごとに関する
>  #認識もなくなるのでしょうか。言葉を消せば、認識も消えるのかな?

記事の問題の箇所はこのようになっています。
> 日本応用動物昆虫学会は、長野県庁から「メクラカメムシ」の名称は
> 差別的ではとの指摘を受け、検討を開始。昨年、日本昆虫学会と連名で
> 「(差別用語を使った標準和名について)今後は研究者が改称を含む適
> 切な処置をとる」という会長声明を発表した。

日本応用動物昆虫学会の過去の会報をさかにぼってみたところ、
1998年3月の評議員会で、「差別用語を用いた昆虫の和名を
変更してほしいという要望が長野県農政部より学会に届いた」
という説明があり、検討がはじまったことがわかりました
(日本応用動物昆虫学会誌第42巻第3号)。

農政部ということから推測すると、農業試験場などで県内の
農業者の方々と接している県の職員が学会の慣例でつかわれ
ている「メクラカメムシ」という和名をつかうことで、苦情
や批判をうけたことが話の発端となっているのではないかと
想像されます。

これは僕の個人的な推測ですからまちがっているかもしれま
せん。しかしこの推測が正しいなら、このことは学会内部の
問題というより、一般の方がこの和名をどう感じるかという
ことが話の中心にあることになります。そうすると一筋縄で
いかない問題だという気がします。

というのは、公共サービスをになう県の技術者がこの名称を
つかうことで一般の方に大きな精神的苦痛をあたえることが
あるとしたら、単に認識の問題、ですますのはむずかしい
だろうなと思うからです。

ちなみに、この話の出所をおしえてほしいと連絡してきた
のは、県の生活環境部のひとでした。生活環境部では農政部
がこんな要望を出していることをしらなかったわけで、僕も
知りませんでした。1998年ですから、今の田中康夫知事の
前の吉村知事のときですね。

それではまた。








Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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