[BlueSky: 3249] サマータイムについて


[From] Minato Nakazawa [Date] Tue, 24 Apr 2001 20:50:29 +0900

中澤@東京大学人類生態です。

ちょっとタイミングを外してしまいましたが,先週の新聞報道で環
境省主導で,政府が本格的にサマータイム法案成立に向けて動き出
したというのがありました。まず自分の立場を明らかにしておくと,
ぼくはサマータイム制には断固反対です。明るい時間に働くように
したければ,フレックス勤務を拡大運用すれば済むことで,時間そ
のものをずらす必要はないと思います。そもそも,日本の緯度はイ
ギリスなどよりはずっと低いのですし。

環境省が推進する根拠としては,どうも省エネとか言っているよう
ですが,http://kobe.cool.ne.jp/momijipafe/stopst.htm
などを見るとわかるように,余暇時間の増加による消費拡大,景気
浮揚とか言っている推進団体もあるようですし(当然,省エネとは
相反しますね),タイムレコーダーとかコンピュータソフトウェア
とか,ちょっと考えれば新たに対応しなければならないインフラス
トラクチャはたくさんあって(後述する「国民会議」の850億から
1000億の初期費用だけで済むという試算の算定根拠はどこにあるの
かわかりませんが),単純に省エネになるという考え方はあまりに
ナイーブだと思います。おかしいと思うので,
http://www.env.go.jp/moe-mail.html
から環境省にメールで意見を送ってしまいました(せめて環境省主
導は止めて欲しいという趣旨で)。

サマータイム関連で政府が設置した「地球環境と夏時間を考える国
民会議」http://www.kokuminkaigi.gr.jp/kaitei/new/
の委員名簿http://www.kokuminkaigi.gr.jp/kaitei/new/data/genan/meibo.html
を見ると,どうもデータと論理に基づいた評価を目指した人選では
ないように思いました。全員を知っているわけではありませんが,
人間工学の専門家が入っていないような気がします。
日没後まで点灯しないとか,日の出後に点灯するとかいう人が
いったい何人いるのか,という現実を踏まえずに機械的に計算した
照明需要にどれほどの妥当性があるのか大変疑問です。
他にもいろいろ突付きたい点はあるのですが,時間がないのでこの辺で。

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Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
[WEB] http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/index-j.htm


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