[BlueSky: 2608] Re:2603 人間至上主義


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 18 Dec 2000 19:07:54 +0900

こんにちは、葛貫です。

akiraさんwrote:
> 環境問題とのからみで言えば、現代文明を支えているもっとも重要な仮想は、
> ヒューマニズム、つまり、人間至上主義です。
> 「ひとの命は地球より重い」という言葉に、それがよく表れていますね。
> 人間にとってはなんとも心地よい美辞麗句です。
> これを分かりやすく意訳すると、人間存在とその欲望は地球上のその他の
> すべての存在よりも、重要であり、優先される。ということでしょうか。

私が認識している世界は、私の脳の機能停止とともに消える、という
意味では、世界の重さと私の命の重さは等価になってしまいますが、
客観的に考えると、可笑しいですよね(笑)。

ただ生かして置くために、多くの薬品や最先端の技術が使われる場合
があるのに、ユニセフの広告によると、2000円あれば子供1人に6種類
の予防接種を受けさせることができるのに、それができずに3秒に1人
子供が死んでいっている地域もある。(予防接種により生き残っても
食料等の問題が解決されない限り、どうにもならないのでは、と思うと、
哀しいです。)
同じヒトでも、命の重さは、生れる時代・場所により違うようです。

> 白人キリスト教徒至上主義に基づいていたのと、全く同じ構図です。
> (人間以外の生物や生態系など、究極的には人間に奉仕するために存在する。
> この思想は、熱帯林の遺伝子資源論などによく表れていますね)

中学・高校の6年間をミッションスクールで過ごした時に聞いたのですが、
旧約聖書では、「われわれのかたちに、われわれをかたどって人を造り、
これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての
這うものとを治めさせよう。」と、神は人を作ったことになっています。
旧約聖書ができた時代は、他の生物は人間に奉仕するために存在する
のではなく、それぞれの生物の特性を生かしながら、この世を維持管理
するために、神は人を造ったことになっていたのでは・・・。
(日本語で「治める」と訳されている語の語源を辿っていくと、もっと明確な
意味がわかると思うのですが、私にはできません。)
何処で自分達の都合の良い解釈にすり替えてしまったのでしょうね。
(信者ではないですし、弁護するつもりもないですが。)

> 我々の欲望以上に、最大限に尊重しなければならないものが存在するのだと、
> 憲法の名において宣言するのです(これまでの文脈を見れば、それが条例や法律
> ではなく憲法でなければならない意味が分かると思います)
> そしてもちろん、この新憲法はひとつのムーブメントとして、世界中に普及しな
> ければ意味がありません。
> 真っ先に反対するのは、多分アメリカでしょうね(笑)

条件反射的な反対はしませんが、個々人が持っているユートビアは異なっ
ており、「最大限に尊重しなければならないもの」がどのようなものかを考え
るのも人間であるわけで、その設定が難しいのでは。
原始ジャングルのような環境を善しとする人(自分は心地好い都会に住む
のではなく、原始ジャングルに住むことが条件)もいるだろうし、管理の行き
届いた宇宙ステーションのような環境を善しとする人もいるわけで、両者の
「自分の欲望以上に尊重すべきもの」は異なっているのでは、と思われます。

「我々の欲望以上に、最大限に尊重しなければならないものが存在する」
ことを納得させるのは難しいけれど、「尊重しなければ、欲望を抱く我々
自身の存続が危ぶまれるものがある」だったら、多少、説得力があるかも
しれません。

【2265】、【2567】で御紹介した科学技術庁 科学技術政策研究所の
「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」では、回答した研究者達は

「生活圏」では、地球規模で自然を回復させるために人間の生活が自然
と分離されるという見方と、環境破壊が深刻になって人間はシェルターに
追い込まれるという見方があった。どちらにしても都市や人間は、巨大
ドームなどの閉鎖空間に向かうようだ。・・・ 後略・・・

という予測をしており、どちらにしても共生というイメージとは程遠いで
すよね。テーマパーク程度でも「自然」が残せれば、ラッキーということ
になるのでしょうか。神が、生物圏を維持管理するために造ったヒトは、
失敗作だったということになってしまうのかな。

限度を越えた欲を満たそうとするヒトも、また自然の産物とも言えなくも
ないと思ったりもします。

まとまりません。akiraさんの意図、はずしていたら、ごめんなさい。

では。


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