須賀です。
中澤さん:
> 仮想と現実の区別がつかなくなる方向に技術が進歩していくならば,
> 区別がつかなくなっても問題ないように仮想空間でも現実並みの状
> 況判断が要求されるようなフィードバックがあればいいのかもしれ
> ません。つまり,説教でなくて,実際に痛い目にあわせるとか。
実際の状況では、外界や他人の予想できない反応や「危険」がどこから
どんなふうにやってくるかわからない、というのが本来のありかたでは
ないでしょうか。
タンザニアでサファリに行ったとき、むこうの茂みにいるアフリカ象が
とてもおそろしかったです。でも、動物園で柵ごしにみると全然こわく
ありません。そういう「おそろしいもの」を飼い慣らすのが文明という
ものかもしれませんが。
マスメディアが発達した20世紀は、社会全体が広い意味での仮想空間の
影響をうけやすくなったともいえるのではないでしょうか。ナチズムや
日本の軍国主義が国民を動員したやりかたも、仮想空間の話とつながり
をもっているような気がします。その場合、痛い目にあうという現実の
フィードバックは、何でしょうね。
個人の肉体的な感覚のレベルでその痛さを感じ、身のこなしをみがくと
いうことについて考えているわけですからね。
このことは「環境問題」にもいえそうですね。たとえば、「地球温暖化」
の影響はなかなか実感しにくいです。自分の行動と照らし合わせて原因と
結果のむすびつきを「痛み」としてとらえるにはどうしたらいいのかな。
ほりさげて考えるのがこわいようなテーマですね。
Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp
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