[BlueSky: 198] Re:132 お礼


[From] Ken Goto [Date] Wed, 28 Jul 1999 15:27:26 +0900

青空MLのみなさん、こんにちは。
後藤@帯畜大です。

ちょっと寝かしてるうちに、忘れていたメール送ります。

関さん【132】:
> 昨日、新潟水俣病に関する特別講義を無事に終えることができました。
とても楽しい特別講義でした。

・・・7月18日のことでした。

大正5年生まれ(だったかな?)の、水俣患者のじっちゃまが演者席に背筋をピ
ンと伸ばして(出番を待って)座っていたのが印象的でした。昔の人は姿勢がよ
い。

メインテーマの一つは、水俣患者にも健常人と同じ日常生活があるんだ、という
ごく当たり前でいながら見落とされがちなポイントでした。

午後から上演された「阿賀を生きるひとびと」では、船大工の遠藤さんの姿が印
象的です。さすが職人、という面構。だが、何故かひとりも弟子を取らずに、途
中で船造りをやめてしまう孤高な男の哀愁が人生の重みと昭和電工による有機水
銀垂れ流しの罪過をよく伝えてくれたものと思います。

そして、2、30年後の今(1992)。ようやっと、船造りを人にはじめて伝
授する気持ちになったことは、遠藤さんの心の中では、はじめて昭和電工事件を
乗り越えることができ、これによって昭和電工に対する勝者になったのかな、と
感じました。

さて、これを機会に、後藤【84】:
> (1)(いわゆる)非人間中心主義 対 人間中心主義 
> (2)文化的自然 対 「文明的」利便性(利用価値)
> (3)同一の目標を達成する際の、自然能力 対 人工能力 の対立。
>
> 中略
>
> 最後に。公害とか立ち退きとか、↑の(1)→(3)の対立軸では捉えられない
> 問題ももちろん残っています。
を補足しておきます。

(4)人権 対 企業利益

いわゆる公害の場合、人体に対する危害(生存権というのか?)に関係している
ので、また、原因が企業の垂れ流し等に関係しているので、この構図がとてもはっ
きりしています。

ただし、公害の場合でも、(2)の文化的自然の破壊というより大きな視点での
問題を含んでいると思われます。

また、「ターザンごっこができる町」は、子どもにとっての基本的人権、と考え
ることもできますから、(2)と(4)はかなり重なり合っているのでしょう。ま
た、既に【114】で申し上げた通り、
> 文化的自然、あるいは、複合的自然能力には、(3)の、定量化されうる自然能
> 力が含まれることを、明記しておきたいと思います。

ちょっと煩雑になってきましたが、少なくとも、(2)→(4)までについては、
文化的自然 対 誰かの経済的利益(または利便性)のような構図になっている
ように思います。ま、無理にこの項図に「還元」する必要はないですが。

さて、
小澤さん【125】:
> ●リスク論もまたモラルの概念を描いているのです。水俣病やダイオキシンの
> 問題は自らに被害がふりかかるかどうかだけではなく、もっと幅広くそれらが
> モラルに反するものとして直接の利害だけに囚われず、市民全体が立ち上がろ
> うとしている問題なのです。ときに中西準子さんはリスク論からダイオキシン
> 問題で騒ぐなと言うようなことをおっしゃるのですが、被害の理不尽さなどモ
> ラルをも問題にしている市民側からすれば、的の半分以上外れた主張となるこ
> とでしょう。

国内の公害闘争の一つの帰結は公害輸出であったわけですが、これは今は措くと
して、、、ダイオキシン汚染などの環境汚染は、消費者の消費活動「も」巻き込
んで発生する問題として、企業の垂れ流しだけの公害に比べ、問題構造は複雑で
あると思います。

それにしても、

中澤さん【169】:
> 上記いろいろなサイトの情報をまとめると,
>
> 昭和電工製のトリプトファン製剤中に,増産効果を狙って追加組み込み
> された枯草菌の遺伝子が原因でできてしまった不純物が原因で好酸球増多・
> 筋肉痛症候群(EMS)を発症し,約30人または36人または37人または38人が
> 死亡したということのようですね(何故か論文によって死亡人数の記載が
> 違うのですが)。

昭和電工、って懲りない会社ですね。

後藤 健
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帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612

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