Bluesky-MLのみなさん
お久しぶりの大川あゆ子@札幌です。
ちょっと長いですね。すみません。言葉が足りないところがあったら
どうぞつっこんでやって下さい。
[BlueSky: 1882] 鮭の放流(帰化生物)
日野圭一さん:
> 魚の湖沼への放流、また河川への放流を欧州なんかで行う場合、その
> 行為の影響が河川流域全体にどういうインパクトを与えるか?という
> のを考えるのは基本になっています。(略)日本にはその心配がない
>(本当はあるんだけど)。
サケなどの場合にはこの問題と無関係ではないですよね。
なぜなら彼らは大回遊を行っているのですから、大西洋のどこかで
他の魚が食うはずの餌を取っているかもしれない。
> 鮭の放流自体については取り立てて非難はしませんが、それを今やる
> 必要な次期なのかどうか?
北海道では事業としての放流については見直されてきています。
サケが安値になってしまったこと、行政のスリム化などに伴って
全てのサケを捕って採卵してしまうのではなく、
河川によっては取らない、
ある時期が終わったら勝手に遡上させる
と言ったムードになってきています。
> もし河川の環境保全をやりたいのなら、
> もっとやるべき事が先にあるんじゃないかと思いますね。
(略)
> 川の美化や保全を訴えるのなら、放流はもってこい。」
川の環境を考えるなら、昔からその場所にいたのに今は減ってしまった
種類を使うのが良いでしょう。サケは一生のうちわずかな時間しか川で
過ごしませんが、たとえばヤマメはかなり長い期間を川で過ごします。
ヤマメなどが暮らしていける川づくり、の方が良いですよね。
>負け戦とわかっていながら、特攻部隊で戦場に送
> りだされる兵士のように思えてならないんだな。帰還率はまだ兵士の
> 方が高いような気がする。
兵士と比較するのは感傷的すぎるでしょう。もともと、天然でも
帰ってくる割合は低いのに。
事業として放流するようになって、割合としては小さく見えても、
多くのサケが帰ってくるようになったそうですよ。(でも小型化
しているそうです)
でも、もし関東での放流ならイベントなのかもしれませんね。
そうなると海と川を行き来する時期の海と川の温度がサケに
適さずに死んでしまうかもしれませんし、多くの堰に阻まれて
稚魚が海に着く前に死んでしまったり、親サケが戻ってきても
堰を越えられない、産卵場所がない、と言うこともあるでしょう。
これは余談ですが、、、
*サケは秋に帰ってくるものと思っていたら、地域によっては
冬じゅう帰ってきているようです。
ただこれも、人が孵化事業をし続けてきたことで短い期間に集中して
帰って来るように変化してしまったと聞きます。
人間が孵化事業から撤退したらどのように変化するのか、調査をし
見届けるべきでしょう。
*現地の人が食糧資源として喜ぶと思って(?)本来サケの
いない国に導入(孵化事業、放流)を行った結果、なんとか軌道に乗った。
現地の人が日本に輸出することで外貨が稼げて喜び、そのあおりをくらって
日本のサケはますます安くなっていく。
みなさん近海物の秋サケを食べましょう。表示を見たら
安いサケや季節はずれのサケはチリなんかで養殖している脂肪の厚いサケ!
それでは。
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大川あゆ子
〒060-8589 札幌市北区北9条西9丁目
北海道大学農学部昆虫体系学教室
TEL 011-706-2486; FAX 011-706-4939
E-mail: ayukawa@res.agr.hokudai.ac.jp
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