[BlueSky: 1617] 都公害防止条例改正市民案をつくる会、都最終答申へ声明


[From] "Takashi Goto" [Date] Sat, 1 Apr 2000 01:45:09 +0900

           <一部クロスポストの方ご勘弁下さい>


こんばんは。後藤@環境NPO研究会です。

東京都環境審議会が、公害防止条例改正についての最終答申を31日に都に
提出したことを受けて、東京都公害防止条例改正市民案をつくる会(牛島聡美
代表)では、声明を公表しました。
同時に、報道関係者向けのPRESS-RELEASEも行いました。

声明は答申の内容について、同審議会の「中間のまとめ」に比べて、ディーゼル
車対策やPRTR関連、フロン対策などで著しく前進している点に加え、「中間ま
とめ」で「その他の意見」として併記した意見や、「つくる会」など市民側が提案し
た具体的な規制方法を積極的に採用していることを高く評価しました。
 一方で、「前文」の欠如や、「拡大製造者責任」の導入が見送られていること、
「循環」の理念が見られないことなど理念上の問題点を指摘しています。また
各論部分では、ロードプライシングや乗り入れ制限、PRTR制度の対象物質の
拡大やフロン課徴金、HFC等の回収、断熱材フロンの回収、ダイオキシン類対
策としての塩化ビニル対策の充実、二酸化硫黄や一酸化窒素規制の存続、土
壌・地下水汚染で汚染者不明や支払能力がない場合の土地所有者による浄
化などを要望しました。
 さらに、条例の名称について、審議会答申が「都民の健康と安全な環境の確
保に関する条例」が適当としているのに対して、東京都の公害問題はいまだ改
善されていないとの認識に基づき「東京都環境保全・公害防止条例」とするよう
、強く要望しています。
 「つくる会」では今後、参加・賛同団体の協力を得て、答申を具体的に検証し、
近々に意見として都に提言し、都議会の場で行われる公害防止条例改正の本
格的な審議に、できるだけ多くの市民の意見を反映させて行く考えです。
ご意見・ご要望などありましたら、気軽にご連絡下さい。アイディアだけでも十分
です。

以下声明。

                                    2000年3月31日
                      
□東京都環境審議会答申 「東京都公害防止条例の改正について」への声明


    東京都公害防止条例改正市民案をつくる会 代表 牛島 聡美(弁護士)           

 本日、東京都環境審議会は、東京都公害防止条例の改正に関する答申を石原
慎太郎都知事に提出した。昨年3月18日に青島幸男都知事(当時)が同審議会
に対して行った諮問に基づき、現行の公害防止条例を地球温暖化など現代的な
環境問題に対応すべく改正することが目的である。
 答申の内容を見ると、昨年10月12日に同審議会が公表した「中間のまとめ」で
示された政策に比べて、さまざまな事項について著しく前進していることがわかる
。特に、ディーゼル車の単体規制や燃料規制を中心とする自動車公害対策につい
ては、この問題に関して後ろ向きだった国や産業界の姿勢に一石を投じ、緊急の
取り組みを促した意味で高く評価したい。また、PRTR法の上乗せ・横出し規定と
も取れる化学物質管理や、特定フロンの再利用禁止及び代替フロンも対象とした
マニフェスト制度の導入など、評価すべき点は多い。
 こうした革新的な事項のほとんどは、「中間まとめ」で「その他の意見」として併記
された審議会委員の率直な提案を採用したもので、都が郵送やインターネットを通
じ、また、公聴会などを重ねて市民の意見を積極的に取り入れ、尊重した結果であ
る。加えて、私たち「東京都公害防止条例改正市民案をつくる会」(以下、つくる会
)が提案してきた具体的な規制方法はもちろん、他の市民、NPO、NGOからの意
見が多く採用されたことは、市民サイドからの環境政策策定過程への参加という点
で画期的であるといえよう。基本的な考え方として、NPOとの連携を積極的に図る
パートナーシップの推進を明記した点も高く評価できる。
 一方で、中間まとめから大きな前進が認められない点も多い。総論部分では、「つ
くる会」が提案していた、環境権や健康な生活環境を都民に保証する都の責務など
を盛り込んだ「前文」の位置付けが、取り入れられていないのは遺憾である。また、
有害物質の回収・処理などの上で不可欠な「拡大製造者責任」の導入が見送られ
ているし、廃棄物処理・リサイクルでは、ダイオキシン類対策として小型焼却炉規制
が盛りこまれているに過ぎない。さらに、青島都知事時代にあれだけ強調していた
「循環」の理念が見られず、持続可能な社会への志向性が薄い。
 このように、本答申には評価できる部分、いまだ不十分な点が混在している。また
、審議会答申が条文や規則に活かされないと実効的な制度につながらない。このこ
とから、「つくる会」では参加・賛同団体の協力を得て、本答申を具体的に検証し、近
々に意見として都に提言する意向で、次期以降の都議会の場で行われる公害防止
条例改正の本格的な審議に、できるだけ多くの市民の意見を反映させて行く所存で
ある。

                                               以上


□東京都環境審議会答申「東京都公害防止条例の改正について」への要望事項

                        東京都公害防止条例改正市民案をつくる会

1. 自動車公害対策について、ディーゼル車優遇など国の政策の欠陥を正しく指摘し
、排出ガス低減装置(DPF等)装着義務づけ、ガソリン車への代替政策の導入、自動
車販売業者に対する低公害車販売実績の報告義務づけなどの対策面で前進が見ら
れるが、ロードプライシングや、学校・病院周辺への高公害車乗り入れ制限、環境基
準を超える汚染時の規制などが盛り込まれていないので、条文化を要望する。

2. 化学物質管理について、PRTR制度を国の法律より上乗せし、一部業者を適用
除外せず特定化学物質を扱う全ての事業者を対象にしたり、排出・移動量に加えて
取扱量も報告を求めるなど、前進が見られるが、対象物質の拡大や有害物質の拡
大製造者責任による回収・処理などが含まれていないため、条文化を要望する。

3. フロン・代替フロン対策について、特定フロンCFC等の排出禁止や、生産が禁止
されたCFCの再利用禁止、マニフェスト制度導入や「フロン回収認定事業所制度」な
ど、意欲的な規定が見られる一方で、脱フロンのための課徴金、オゾン層を破壊しな
いが温暖化物質の代替フロンHFC等の回収、冷媒でなく断熱材に含まれるフロンの
回収などが盛り込まれていないため、条文化を要望する。

4. ダイオキシン対策として小型焼却炉だけが規制化の対象とされているが、発生源
には産業廃棄物焼却炉、都の一般ごみ焼却炉、鉄鋼等工場、ディーゼル車など大口
発生源が多く存在し、発生原因対策としても塩化ビニルの一部用途の規制や全部の
用途について製造者責任による確実な回収と適正処理が必要なはずであるが、一切
盛り込まれていない。加えて、都が掲げている循環型社会づくりの推進に関する条項
が不十分なため、これらの条文化を要望する。

5. 大気汚染対策について、二酸化硫黄や一酸化窒素の規制を解除すべきとしてい
るが、工場や発電所、ごみ焼却場などの固定発生源は依然として存在し、それらを規
制物質から除外するほど東京の大気汚染は改善されていないため、これらの規制を
存続することを要望する。

6. 土壌・地下水汚染を一体的な問題としてとらえ、事業者や土地改変者に対する規
制について、処理計画や汚染防止計画の作成・報告を義務付け、原状回復や拡散防
止に関する規定を充実させた点は評価できる。しかし、汚染者が不明だったり支払能
力がない場合の「土地所有者」による浄化などに関する規定がいないため、条文化を
要望する。

7. 名称について「都民の健康と安全な環境の確保に関する条例」とすることが適当
であるとしているが、東京都の公害問題はいまだ改善されていない部分が多多ある
事実に鑑み、「公害」の2文字をあえて残し、「 東京都環境保全・公害防止条例 」とす
るよう要望する。


・・・以上です。


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後 藤   隆 [ Takashi Goto ]
[mailto:takapi-@sf6.so-net.ne.jp]
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