[BlueSky: 1575] モザンビーク大洪水


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Wed, 22 Mar 2000 10:35:32 +0900

青空メーリングリストのみなさん
                須賀です。

新聞などの報道ですでにご存じの方の多いと思いますが、南部アフリカで
過去40年の観測史上最悪といわれる集中豪雨があり、モザンビークが大洪
水の被害をうけています。約190万人が直接、間接に被害をうけているそ
うです。この被害への救援活動にとりくんでいる方からのメールの転送の
依頼を知人を通じてうけました。差出人の津山さんはJVC(日本国際ボラ
ンティアセンター)の南アフリカ事務所にいらっしゃいます。知人によれ
ば、JVCは日本のNGOとしてはおそらく一番よくしられている、とのこと
です。わたしも10年以上前から知っています。新聞の報道によれば、マラ
リアやコレラがひろがる心配もあるとのことです。

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友人、知人の皆さま

FROM JVC南ア事務所 津山直子

すでに、ご連絡させていただいた方もありますが、JVC(日本国際ボランティ
アセンター)では、モザンビーク大洪水の被災者への緊急復興支援を行っていま
す。(以下の緊急アピールを参照ください)

モザンビークの大洪水で100万人が被災
JVC「モザンビーク緊急復興支援キャンペーン」を実施
2000年3月17日
モザンビークは、長年の植民地化と内戦が終焉し、やっと平和が訪れ、復興の道
を歩んできました。しかし、今回の50年来と言われる大雨とサイクロンによる
洪水被害は、世界の最貧国の一つであるこの国を深刻な状況に追いやっています。
JVCは、1992年以来、南アフリカに事務所を置き、南アフリカ国内の課題に取
り組みつつ、隣国であるモザンビークが内戦から復興する姿を見守ってきました。
今回の被害に対し、JVCはモザンビークで活動するOXFAM(オックスファム)
事務所と協力し、 被災した人々に「ファミリーサバイバルセット」(生活に最低
限必要な毛布、食料、鍋、石鹸などがセットになったもの)を配布する活動に緊
急支援を行いました。 現在も、被災民キャンプでの救援活動が続けられています。
と同時に、村人が村に戻り生活を再開するための復興活動が始まっています。飲
み水の確保、家畜などの死体の処理と消毒、農地整備と農業の再開を迅速に行わ
なければなりません。農業が復興しなければ今後の食料不足が深刻な問題となり
ます。JVCは今後、現地のNGOと協力し、家づくりの材料、生活必需品、農具、
種子などを支援する緊急復興支援キャンペーンを継続します。
みなさまのご協力とご支援をお願い申し上げます。

募金の宛先:郵便振替 00190-9-27495JVC東京事務所
* 通信欄に“モザンビーク”と明記してください。

l 先見調査に入ったビクター・マトム氏(フォトジャーナリスト、JVC南アフリ
カ代表津山直子のパートナー)が来日します。報告会は、25日午後6時から、
シニアワーク東京にて。l 3月22日午前7時20分頃から、NHKラジオ第1放送
「ラジオあさいちばん」に津山が南アフリカから電話で出演、現地の報告をしま
す。
* お問い合わせ先:日本国際ボランティアセンター 南アフリカ担当 奥野久美

TEL 03-3834-2388/ FAX 03-3835-0519/ E-mail:kokuno@jca.apc.org


モザンビーク現状報告

3月12日から17日までJVC南ア事務所から津山直子と竹之下香代が現地視察に
行ってきました。今回の目的は、災害現場の状況確認、緊急復興支援のパートナー
となるNGOを調査することです。

大洪水で100万人の被災者が出ていますが、まだ雨が毎日のように降り続く中、
村に帰ることができず避難民キャンプに暮らす人が30万人を越えています。
また、陸路でアクセスできない地域もかなり残っており、ヘリコプターでの
救援物資の供給が続いています。
通常でも3月いっぱいは雨期ですので、あと2週間は雨が降りそうです。

現在の食料、飲料水、テント、医療などの緊急救援はもちろん、
水が引いた後、避難民が村に戻り、生活を回復し、農業を再開することに長期的
に関わっていくことが大切だと感じました。

現在の大規模な救援活動は3ヶ月以内には、大幅に縮小され、
国連や各国政府も引き上げる見込みです。

その後の生活回復支援においては、日ごろからその地域の村人を支援してきた
現地NGOや地元の農民グループへの協力が重要です。

JVCは当初、OXFAMが行っているサバイバルセット(被災者家族への生活
必需品)配布に協力しました。今回の視察では、OXFAMとも話し合い、今後
避難民が村に戻り生活を回復する際の支援を行うために、長年その地域で活動し
てきている現地NGOが実施する緊急復興活動に協力していく方向で調査を進め
ました。

国連や外国からの団体が、種子、農具の援助も始めていますが、 その内容はど
こも画一的で、種子では、メイズ(白とうもろこし)、豆、野菜(キャベツ、玉
ねぎ、トマト)、農具では、くわ、なた、おのといった内容です。

しかし、地元の人に聞くと、ソッガム、さつまいも、キャッサバ、かぼちゃ、バ
ナナなど地域の気候にあい、生育も早いものを多様に植えたい、
農具でも、土砂を除くためのシャベルやすき、かま、長くつなど状況により
ニーズが異なってくる、ということです。メイズは3月までと8月以降が植える
季節ですので、4月以降に村に帰るのが延びたときにメイズに頼っていると、結
局次の12月の収穫まで何もできないで、食料難に陥るというようなことが起こり
ます。

JVCは、そういった村々の状況を理解し、フィールドワーカーが活動している
現地NGOに協力していくことにしました。。
いろいろな団体を回りましたが、KULIMA(クリマ)、ORAM(オラム)
という二つの団体への協力を行っていくことにしました。

2団体の簡単な紹介は以下のとおりです。
Kulima(クリマ、スワヒリ語で耕すの意味):1984年に設立され、モザンビー
クで一番古いNGOの一つ。代表のドミニコさんは、INGC(災害復興委員会/政府、
国連、NGOが参加)の農業部会に現地NGO代表として出ている。各地の農民組合や
CBO(住民組織)をサポートし、地域開発、農業、トレーニングに地道に関わっ
てきた。6州に事務所を持ち、116人のスタッフがいる。緊急復興については、コ
ミュニティーとの信頼関係を生かし、長期的に関わっていく方針。

ORAM(オラム、農村相互扶助協会):1992年に設立され、47人のスタッフが7
州で活動している。農民組合の設立や土地使用権取得への支援、農業トレーングの
実施などを行ってきた。現在207の農民組合を支援。耕作用の牛をコミュニティー
の中で増やしていく牛銀行プロジェクトも行っている。1995、1997年の洪水被害
でも緊急救援の活動をしている。

今回訪れた洪水現場の様子です。

チャカラネ(最大の避難民キャンプ)
チャカラネはガザ州の町、マシアとチョークエの中間点にある村(両方から約30
キロの地点)で、4.5-5万人の被災者が周辺の村々から集まってきている。ヘリコ
プターなどで救出されてきた人もいるが、ほとんどは、各村から何十キロも歩いて
きている。人の多さに圧倒される。草で作ったやっと一人が入れるほどの小屋、配
給されたテント、ビニールシートを木で支えてテントかわりにしている人たちなど
せまい場所に密集している。テントやビニールシートは援助で集まったものが、ま
だ全部が配給されているようである。子どもや女性にくらべて、男性の数が少ない
のは、長年の内戦で死んだ人、南アの鉱山などに出稼ぎに行っている人が多いため。
大勢がOXFAMにより水タンクが備えられた場所に水を汲みにしてきている。簡易ト
イレがOXFAMなどにより作られている。食べ物は、シマ(白とうもろこしの粉を炊
いたもの)に近くの川で取れた小さな魚など。十分な食べ物はないが、飢えが目立
つ状況ではない。コレラやマラリアの大規模な感染は防げているが、1日数 人の死
者が出ている。女たちが食べ物や水の確保、子供の世話などに追われているのに比
べ、男たちは、寝ている人や土の上で石を使ったゲームをしている人などが目立つ。
子供たちに食べ物を配布している現地NGOもある。人々は、各村ごとに固まって
住んでおり、互いに助け合っている。

チョクエ(洪水被害の大きかった地域)
チョクエでは大雨続いている。町の一部に人が固まっている以外はほとんど人気
がない。周辺の村では、村全体が水に使っているところが多く、人々が帰ることが
できる状況ではない。人々が戻る前に、井戸の修理や水タンクの設置、家畜などの
死体の処理と消毒をしなければならない。マラリアやコレラは村に帰った後も大流
行する恐れがある。チョクエからリンポポ川の対岸にあるカニサドや80キロ下流の
チブトは、現在も孤立しており、ヘリコプターでしか行けない。

今後の予定

4月以降も毎月1週間ずつ、モザンビークの現場を訪問する予定で、
南アでの活動(職業訓練、農村開発、子供の教育)に加え、モザンビーク緊急救
援に関わっていきたいと思います。
どうぞ、緊急救援キャンペーンへのご協力をよろしくお願いいたします。

また、このメールをお知り合いの方などに転送していただき、より多くの皆さま
に現状を理解していただければ幸いです。
JVCホームページ(http://www.jca.apc.org/jvc)に写真を掲載する予定です。

津山直子

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Japan International Volunteer Centre, JHB Office
e-mail: jvc-sa@iafrica.com
Post: P. O. Box 31618, Braamfontein 2017
Tel: +27 (11) 403-7848, Fax: +27 (11) 403-2312
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