一ノ瀬さん、こんにちは、葛貫です。
忙しい中、返信、ありがとうございました。
>葛貫さんは、従来型農産物については、どういう訳か、”何
>のリスクもない”という前提に立っておられるようです。
リスクは無いとは、思っていません。
GM食品と農薬の使用を巡るディベートが始まるから、良く見て、ましな方を
選ぶしかないだろうと【1259】にも書きました。
最近読んでいるのが水産関係が多いので、例にさせて戴きますが、
以前にも書きましたが、遺伝子操作ではなく、選抜育種による品種改良でも、
問題は起きています。
例えばアユでは、最近まで、琵琶湖で種苗が大量生産され、全国の河川に
放流されてきました。琵琶湖産の放流魚が在来型と競合し、在来型が滅亡
してしまった地域もあります。そして、今、琵琶湖産の種苗の健苗性や順応
性に問題が生じています。在来型が残っている所では、それを使って種苗
生産ができます。でも、亡んでしまったところでは、どうすることもできません。
ある場所に存在する生物の種・型は、その場の物理・化学・生物学的環境
要因(人間が今のところ感知していないファクターも含めて)との応答により、
長い時間をかけて淘汰されてきて、その場の環境にとって最適なものです。
GM食品の種子は、琵琶湖産アユ種苗のような危険性を孕んでいないでしょうか。
例えば、極端ですが、世界中のトウモロコシの遺伝子源が、種子産業の都
合で、一株のGMトウモロコシ由来のものになってしまったとします。その株
のある菌に対する抗病性に欠陥があった場合、世界中のトウモロコシが全
滅することだって、あり得るわけですよね。
#鈴木光司の「らせん」で我がもの顔に大量に増殖した貞子(クローン)は、
#「ループ」では、開発されたワクチンでバタバタ死んで、片付きましたよね。
それほど遺伝子資源を単純化してしまうことはないと思いますが、世界中で
栽培されるものの種子が単純化されてしまうことは、予期せぬ病害虫の被害、
気象の変動等による影響を激烈に受ける可能性を大きくしてしまうのではな
いでしょうか。
このことは、GM食品だけではなく、種子産業全体に言えることですが、GM
食品の導入により、より加速されるのではないかと心配です。
> 私は「GM作物の安全性について、科学的な評価と、政治・経済的な事柄とは、
>分けて論じるべきだ」と主張してきました。その線で言えば、別個議論すべき課
>題だと思います。
はい、そうですね。
須賀さんや中澤さんがあげていらした、
1)食糧の増産よりも、分配の不平等をなくすことの方が重要である。
について、別個に検討してみることを提案したいです。
(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。