[BlueSky: 1197] Re:1184 技術の社会的管理 


[From] "一ノ瀬 威" [Date] Sun, 19 Dec 1999 02:30:46 +0900

 一ノ瀬(尼崎市)です。

山本さん<
 でも、実際のところ発電能力だけを考えた場合にも、小型の方が効率
は高いのでしょうか?
 また、排ガスなどの処理はある程度”もの”が集まった場合の方が処
理しやすいし、効率的だなぁと思いますが・・・

 伊東さんからはコメントがないようですが、私の知る限り、小型の方
が発電効率が良いという例はありません。また、環境汚染についても、
小型の方が少ないという話はないようです。
 [1170]でコメントのあった色素系太陽電池についても、その”色素”
が何らかの原因で環境に放出された場合、未知の汚染原因となることは
ないのか、と考えると、必ずしも有望と言えるかどうか、疑問に感じて
います。

 ただ、見方を変えると、小型分散によるメリットが出てくる場合は、
確実にあると思います。

 例えば、マイクロガスタービンによる発電、という話を聞いたことが
あります。

 これは、100kWに満たない小型の発電設備で、小さめのビルやマ
ンション一軒分の電力しか供給できませんし、発電効率もせいぜい30
%です。40%を越える、大型の新鋭火力発電所よりもずっと発電効率
は劣ります。

 しかし、ビル一棟分にしか電力を供給しないため、送電ロス(5%程
度)と送電設備の維持管理が不要になります。設備コストも低減されま
す。

 なにより、廃熱の利用が容易です。

 廃熱を、お湯などの形で遠距離まで運ぶことは、ロスも大きければ、
大規模な投資も必要になります。
 ビル一軒分であれば、こういった点は問題にならなくなります。
 コジェネレーションシステムとしてみた場合の効率は、60%を越え
るということです。

 ただし、身近で火力発電する以上、排ガスは出ます。
 幾ら、低NOx化の技術が進歩していると言っても、”少しでも出る
のなら、絶対にイヤだ”という主張を優先すると、この技術はあまり使
えません。
 CO2排出削減とのトレードオフを、どう考えるかで決まるでしょう。

 また、”発電”ではありませんが、ゴミ焼却炉についても、小型分散
のメリットがあると思います。

 廃熱利用が容易な事、ゴミ収集に要する労力が小さい事の他に、ゴミ
を排出した地域で焼却することになって、”ゴミ焼却の押しつけ合い”
の醜い争いを回避することが出来ます。

 この場合も、”ダイオキシンは極微量でも絶対にイヤだ”と主張され
ると、実現不能です。

 長々書いてしまいましたが、
「小型分散によるメリットは期待できるが、ある程度トレードオフを許
 容せざるを得ないだろう」
という意見です。



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