[BlueSky: 1028] Re:1026 三番瀬問題


[From] keimika@246.ne.jp (Keiichi Hino) [Date] Fri, 22 Oct 1999 02:01:31 +0900

BS-MLのみなさん こんばんは。
非常に久々な登場の東京/世田谷在住の日野です。

今日はちょっと過激に書くぞ(笑)
長文失礼!


At 22:44 99.10.21 +0900, Kikuhiko Mizusakiさん wrote:
>さて、今や貴重な自然環境となった干潟を人間の浅知恵でいじくり回し、さらにその
>代償として人工干潟を作ってきちんと機能する様な物が出きるとでも思っているので
>しょうか?

売り言葉に買い言葉的になりますが、人工干潟を研究している人たちの
理論からすれば十分に機能することになりますね。
結構本気で「出来る」と思ってますよ。

ただあくまでも卓上計算値からの判断であるゆえ、成功するか否かは
はっきり言ってよくわかりませんね。日本国内での研究成果はないし、
世界的にみても欧州の一部で実例があるだけのハズ(ここは未確認、確かオランダ)。

僕個人の考え方としては、今の技術では人工干潟は難しいでしょうね。
干潟の機能うんぬんの前に、砂泥が汐の干満で持っていかれるのを
防がない限り無理。その技術がどのくらいなのかは、千葉の稲毛海岸や
築地脇の浜離宮にある人工海岸で証明済み。砂が全然定着しない。

今年あのお台場にある人工海岸に東京都は巨額を投じて白い砂を
敷きつめたけど、結局何度かの大雨と一度の台風で半分以上を海底に
持っていかれた。東京都は税制危機なため修復を断念した。
今じゃ、まるでシマウマ模様の海岸らしい(白い砂と黒い砂)

あの小さな小さな台場でさえ、そんなに巨額な費用が必要なのに、
その何十倍もの面積の人工干潟を事業主体である千葉県はどうやって
管理するのであろうか?

僕は自然復元なんて、箱庭の中でやるもので、生態系の土台を支える
部分を人間の技術で賄うことは出来ないと思っている。
よく”自然保護”って言葉は人間の奢りだ、と言われますが、
自然復元はもっと奢っていると思う。まぁ譲歩して言えば、
すでに壊されてしまっているところを自然復元することは理解できるけど、
いま自然状態の干潟がある場所をわざわざ壊して、その上に人工干潟を
つくるというのは、どうしても理解できない。

健康体な人の心臓を、どうしてわざわざ人工心臓に変えるの?

そんなこと言ったら技術の進歩は無い! と言われそうですが、
ラムサール条約登録地に隣接していて、渡鳥数が多く、また江戸前の伝統漁業が
現存する、そして東京湾に残された大きな面積の自然干潟を傷つける
のに、その技術はそんなに大切なのでしょうか?


>環境アセスメント法が変わって、ミティゲーションの概念がきちんと導入され、さら
>にその事後評価をするようになりましたが、事後評価で否定された場合の罰則規定は
>無いのはどうしてなのでしょうか?
>事業主体が、きちんと責任をとるような制度でないといけないと思います。

ここで問題なのが、本当にミティゲーション(自然復元)の概念が
関係省庁及事業主体者にオーソライズされているか?ですね。
たぶんされてないと思う。どこまで達成できればミティゲーションが
完成したと言えるのか。一応新アセスの中には盛り込まれましたが、
日本適応型になっているか否かは未知数ですね。

建設省が研究している”近未来工法河川”もミティゲーションの一つだけど、
A県の河川で成功した事例をそのままS県の河川に導入したりする。
でもAとSでは気候も風土も生物相も違うのに、そのままのコピー。
なんでそんな単純な配慮ができないの?と思ったけど、蓋をあけたら
簡単な事だった。Aの川は建設省が管理。そこにSの担当者が視察に行った。
ただそれだけ。ナントカつくって魂入れず。


事後評価以降の罰則規定が無いことは当然です。新アセスにしても、
時のアセスにしても、その事後評価をする人達は、その事業を計画した
人達。よく「第三者の判断」と言いますが、日本の場合、その第三者を
事業計画者が兼任する形になってます。

先日、長崎の諌早干潟について農水省の構造改善局が「時のアセス」で
あの開発を再点検する旨の報道がありましたが、厳しく言えばあれも
マスターベーションにすぎません。だって構造改善局の人たちが審査するんだもん。
このMLを読んでいる人も「諌早→時のアセス→堰の是非」と連想される
かもしれませんが、まったく違う判定の仕方をするハズです。

たぶん「計画時には、堰内側全域に農地が必要と判断していたが、
建設実行後の時のアセスでは、それほど大きな農地は必要なかったと判断。
拡大農地面積は計画時より縮小する必要がある。堰の位置については、
見込み違いではあるが計画時の状況からすると致し方なかった」
ということになるのだと思う。

なにしろ”事後評価”を誰がやるか?で大きな差がでるのは確かです。



今日のところは、この辺で退散します(^0^)/


ではでは



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